NEWS

インタビュー
2022.03.24
【WE INTERVIEW #41】~園田悠奈選手(アルビレックス新潟レディース)~


ボランチへのコンバートによってさらなるスキルが芽吹く

園田悠奈はサッカーへの向き合い方が良くも悪くもストレートだ。自分の弱さも武器も無意識にひっくるめて自分のものにする。苦しみながらも自分のペースで歩んできた園田は、アルビレックス新潟レディースで過ごした2年間で自他ともに認める成長を遂げた。サイドのスピードスターだった彼女は、今やチームの攻守の要であるボランチを担う。すべての新知識がみるみるうちに吸収されていく。その蕾はいままさに開花しようとしている。

——サッカーを始めたのは小学4年生。どんなところに魅力があったのでしょうか?

兄の練習について行っていて、ずっとやりたいと言っていました。両親はあまり女の子にサッカーをさせたくなかったみたいで、4年生のときにようやく、一回だけ練習に行ってみていいことになりました。とにかくボールに触っているだけで楽しくて、当然のように熱中しましたね(笑)

——ご自身の土台となった時期はいつ頃ですか?

中高一貫の神村学園で過ごした時期です。全寮制だったのでホームシックになってしまって、最初の時期は練習すらまともにできませんでした。ただ憧れている先輩が居るからという理由で、何の覚悟も持たずに進学してしまったのできつかったです。それでも中学2年生の時に背番号10番を着けさせてもらうことになり、自分はチームの中心としてもっとがんばらないといけない、と思うようになりました。

——神村学園の選手と言えば、しっかり走れるイメージがあります。

本当に走りました。みんなで走る50本ダッシュは、足を止める人がいたら最初からやり直しでした。今でも良い思い出です(笑)。厳しい走りの中で、いかに自分に打ち勝つかを考えていました。この経験が、試合のきつい時間での一歩が出るか出ないか、というところのメンタルの強さに繋がっています。

——大学からアルビレックス新潟レディースへ入団します。どんなところがクラブの目に留まったと思いますか?

それが、大学生の時の自分はすごくちゃらんぽらんだったと思うので、不思議で(笑)。当時の奥山(達之)監督の指導を受けていたこともあって引っ張ってもらったんですが、その時から「お前は何もしていない」と怒られ続けていました。厳しい中高時代を経てもっと上のレベルでプレーしたいと思う自分と、楽しくサッカーをしようという大学の雰囲気のギャップに整理がつけられなくて、もがいていた時期でもありました。だから新潟に入って環境が変わったことで自分も変わりましたね。

——新潟としてはなでしこリーグでの最後のシーズンに入団して、翌年にはWEリーグが開幕。目まぐるしく環境が変わりました。

自分で言うのもなんですが、すごいスピードで成長した2年だったと思います。新潟に加入する前までは大学4年間でサッカーをやめようと思っていたので、当時は今の自分を想像できなかったですね。一番の変化は責任感を持つようになったことです。チームの代表として試合に出ている責任感が芽生えて、チームのために自分が何かしたいと思う気持ちが強くなりました。

——そう自覚することでプレーにも変化がありましたか?

誰よりも走るようになりました。まあベースは神村学園で身に着けたので(笑)。ただその時はサイドでプレーしていたので、イケイケどんどん!という感じでしたが。

——今はボランチでプレーしています。コンバートされた当初はどう思いましたか?

サッカー人生の中でボランチを経験したことがなかったので、不安しかありませんでした。サイドでは縦にどれだけ速く行けるかが勝負でしたが、ボランチだとスピード感がわからなくて前に速く行きすぎて、ディフェンスとの間のスペースがゴッソリ空いてしまって。もう暴れまくっていました(笑)。

——今はボランチでのプレーの感覚を掴めましたか?

はい。トラップしてからのパスは速い方だと思います。そのタイミングでの縦パスは、自分では強みだと感じています。あとは、ボランチになってからより走れるようになった気がします。

——ボランチとして今トライしていることは?

“脱力”してプレーすることを意識しています。私がボールを触っている時がわかりやすいと思います。トラップの瞬間とパスの瞬間を見てほしいです。

——力みがなくなったことでボールコントロールをしやすくなったなど、実感はありますか?

あります!トラップもパスも変わりました。ちょうど開幕あたりから取り組み始めて、最近身に着いてきた感覚があります。あとは、ミドルシュートを仕留められるようにキック力から改善しています。これもまだ途上ですが、成果を少しずつ出していけたらと思っています。得点できればこぼれ球でも何でもいいです(笑)

——皆さんにお伺いしているのですが、今後どんなWEリーグにしていきたいか、園田ビジョンを教えてください。

私が小学生の時はプロの道なんて考えられなかったし、そもそもサッカー選手を職業にしても食べていけないと思っていたので、その道が開けたことは大きなことです。WEリーグをきっかけにサッカー人口を増やせればと思います。あとは外国人選手がもっとWEリーグに入って来てほしい。世界で戦える日本の選手をもっと増やしていかないといけないと思うので、海外の選手がWEリーグを魅力的に感じてどんどん来てもらえれば、世界一はそんなに遠くないんじゃないかなと思います。

——前期は苦しい戦いでした。後期はこんな新潟を見せます!というのはありますか?

前期では、セットプレーで切り替えられなくて失点し、その1点で負けることが多かったので、チームとして切り替えを特に意識して取り組んでいます。一体感のある守備から、速いスピードでゴールに向かう姿勢をみなさんに見てもらって、何としても勝利を掴み取りたいです。勝ちたい気持ちはみんな持っているので、それを前面に出していきたいです。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

園田悠奈(そのだ ゆうな)

1999年2月10日生まれ、宮崎県出身

MF、背番号16

延岡東SSS神村学園中等部 → 神村学園高等部 → 新潟医療福祉大学 → アルビレックス新潟レディース

PARTNERS