NEWS

インタビュー
2021.11.04
【WE INTERVIEW #31】~平尾知佳選手(アルビレックス新潟レディース)~


引きずった最大のミスからの巻き返しで掴んだゲームメンタル

U-17 FIFA女子ワールドカップで初めて“世界”に触れた平尾知佳。知らず知らずの内にプレッシャーをまとってしまった末に考えられないミスが起きたと今も悔やむ。しかし、この経験からの復活が彼女をさらに強くさせた。アルビレックス新潟レディースで4年目のシーズンを迎えた平尾は、どんな練習でも常にゲームを想定して臨む。味方を安心させる“存在感”を身にまとうべく、今もなお彼女は貪欲に前進しつづけている。

——GKになろうと思ったきっかけは?

よくある話で、小学生のときにGKがいなくて、身体がデカいからやってみないかと言われたのがきっかけです。でも、ホントにGKやるのが嫌で・・・痛いし、怖いじゃないですか(笑)小学生のとき、キヤノンカップという大会があって、そこで選抜チームを作ってアメリカに行くんですよ。自分はフィールドプレーヤーで出て、PKGKをやりました。それを高倉(麻子)さんたちが見ていて、選抜チームにGKで選ばれました。そこでJFAアカデミーを受けてみないかと言われて、フィールドとGKと両方受けましたが、結果GKとして合格。「自分が生きていく道はGKなのか」と思い、GKになりました。FW好きだったんですけど・・・諦めがつきました(笑)

——GKの面白さを知ったのはいつ頃ですか?

中学の頃は嫌いでした(笑)やり始めて間もないからシュートも止められない。高校になって止められるようになってからやっと面白さを感じましたね。中学3年間はもがいてました。自信になったのは、中学3年生のときに出場したAFC U-16女子選手権でアジアの国の人達と戦ったこと。「自分って戦えるんだな」と感じました。でも翌年、FIFA U-17女子ワールドカップで自分がミスをして準々決勝で負けてしまいました。これは堪えました。1,2か月は引きずってしまいましたから。

——日本がペースを握っている試合でした。数々の代表経験の中でもあのミスはやはり大きいですか。

今までの人生でも最大のミス。もうなんて人生だ!と思いましたよ(笑)いつもできていたプレーが・・・というか、あんなトンネルしたことなかったんですよ。そこまでプレッシャーを感じてはないと思ってましたが、無意識に感じていたのかも。常にどんなときも試合をイメージしなきゃその場に立ったときにいいプレーは出来ない。練習のときから、一つ一つこれで勝負が決まると考えながらプレーするきっかけになりました。今はやっとそう言えます。

——あれから成長し、この夏はオリンピックも経験しました。今の課題は?

試合の中でピンチは絶対に来るので、そこを止められるだけのシュートストップやクロスの対応をもっともっとレベルアップしていかないといけない。その中でも今は存在感を身につけたいです。後ろにチカがいれば大丈夫と思ってもらえれば安心して攻められるし、守れると思うので。

——そして新潟へ移籍してきて今年で4年目です。

この4年で1対1は強くなりました。あとビルドアップ・・・キックの精度は成長したと思います。キックが下手で練習しなきゃと思っていましたが、一番は2019年のワールドカップの時に試合を見ていて、海外の選手はやっぱりプレッシャーが速くて、トラップした瞬間にガン!って狩られることが多く、ふんわりボールだと寄せられてしまいます。いかに味方が選択肢を増やせるか、余裕を持てるかを考えたときに、GKのフィードの精度とボールの位置がすごく大事になってくる。そこからガッツリ練習しました。

——代表にはタイプは違えど、キックには定評のあるGKがいます。

めちゃくちゃ盗みまくりです(笑)!(池田)咲紀子さんは蹴り方がキレイ。軽く蹴るんです。どうやって蹴ってるのか内緒でずっと研究してるのですが、ちょっとストーカーっぽいですよね(笑)どういう位置のときにロングボールを蹴るのか、自分とは視野が違うので勉強になります。山さん(山下杏也加)はビルドアップのときに味方を動かすんですよ、自分が回せるように。その動かし方をずっと見ていました。

——贅沢な環境ですね。その二人のいいところを落とし込んだ“ニュー平尾”はいつ頃お目見えしますか?

今、発展途上なので、もう少し見ていてください(笑)

——そんな平尾選手から見る新潟の魅力は?

攻撃!今年、道上彩花選手が入ってきて、“走れる”選手に“力強い”選手が加わった。今シーズンは北川ひかる選手がいいクロスボールを上げてくれているので、そこに突っ込む道上選手の迫力はすごいです。

——みなさんにお伺いしているのですが、こんなWEリーグにしたいというのはありますか?

今までプレーしていたなでしこリーグでもやはり知名度は低かったと思います。Jリーグが多くの人から必要とされているように、WEリーグも色々な人にとってなくてはならない存在になっていきたい。先日WE ACTION DAYで子どもたちの前で話をさせてもらう機会がありました。子どもって正直なので、楽しそうな反応を見ると嬉しいですね。最後には「写真撮ってください」などと声もかけてもらって、素直に嬉しかったですし、こういった活動を通してクラブやWEリーグを少しでも知ってもらうきっかけになってくれたかなと。また村松大介監督が話上手でして(笑)監督を見習って、やってみたいです。回し役!

——最後にファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます。今はなかなか結果がついてきていませんが、みなさんに勝利を届けて、「明日からまた頑張ろう!」と思ってもらえるような試合をしていきたいので、後押しをよろしくお願いします!

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

平尾知佳 (ひらお ちか)

1996年12月31日生まれ、千葉出身

GK、背番号1

六実サッカークラブ松戸フットボールクラブ → JFAアカデミー福島 → 浦和レッドダイヤモンズ・レディース → アルビレックス新潟レディース

PARTNERS