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インタビュー
2021.10.07
【WE INTERVIEW #29】~林香奈絵選手(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)~


真剣に取り組むことを全力で楽しむ!

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースからゴールを奪うためには、林香奈絵の簡単には食いつかない粘る守備を打破しなければならない。センターバックを任されるまでに経た紆余曲折そのすべてを正面から受け止め、挑戦することそのものを楽しんできたからこそ、センターバックとしての今があると胸を張る。ピッチでは林自身がワクワクしながら一瞬一瞬を全力で楽しんでいるプレーを必ず見せてくれるはずだ。

——もともとは攻撃側のプレーをしてましたが、いつ頃から守備路線に?

DFラインは高校2年のときに初めてやりました。それまではドリブルが好きだったんですよ。ボールを持つことが好きで、あまりパスをしないので周りと連係が取れてなかったんです。それでコーチに「一回後ろから全体を見ろ」と言われたのがDFラインに行ったきっかけです。相手のボールを奪う、逆の立場でカバーする感覚・・・これが楽しかった!

——推進力がモノをいうポジションから今度は受け止める側に。混乱はありませんでしたか?

私、多分新しいことをするのが好きなんです。千葉Lでは前線で出てたときもあったし、それが一気にCBに変わって・・・でも変わることが結構好きだったりもする(笑)

——では今後、試してないポジションを与えられるとまたそこに楽しみを見出してパワーアップする可能性も秘められているのでしょうか?

ありますね(笑)新しいことにはチャレンジしたいなって思います。この年齢(27歳)ですけど、それを言われて「NO」という選択肢はないです!

——このDFの目線を得たのがターニングポイントですか?

そうですね。ターニングポイントはあと2回あります(笑)2回目は大学1年でユニバーシアード代表に選ばれて、そして落選したとき。今まで選抜とかナショナルトレセンとかに選ばれてもそんなに熱くなることってなくて・・・。でも、この落選がすごく悔しかったんです。まるで歯が立たない状況でした。年上の人たちの中で判断、スピード・・・何も勝るものがなかった。これは大学在学中にユニバーシアード代表に入らないとこの気持ちはきっとなくならないと思いました。ここが2つ目のターニングポイントです。そこから個人の明確な目標を立てて、どんなトレーニングをするのかをやっていって、次のユニバーシアード代表に選ばれて大会に臨めました。ようやく“勝負”の世界に入ったという感じでした。

——そこから3回目が来るわけですね。

はい(笑)昔から私を知ってる人はまさかWEリーガ―になるとは思ってなかったはずです。千葉Lに入って3年間は12番目の選手、みたいな立ち位置でした。メンバーには入ってるけど、試合には出ない。出ても数分がいいところで・・・サイドハーフやトップと彷徨っていましたね。さすがにそろそろ移籍かなと考えてたのですが、「ここで何もしないで出ていけない」と4年目を迎えたときにCBに変わったんです。そこからまた新しいポジションを楽しむという私の得意技が出て(笑)、壁になることはやっぱり好きかもしれないと思いました。それが今の私を作ってます。

——今シーズン力を入れているプレーは?

シュートブロックや壁になるのはこれまでも強みとしてやってきましたが、そこから次、ボールを奪うところに力を入れています。シュートブロックって防いでるけど、ボールが奪えてないことも多いです。もう一個前のプレーで相手のボールを奪って自分が攻撃の一番目になる。それが出来ないとWEリーグでは戦えないと感じます。

——WEリーグの開幕戦でいきなり千葉Lは全チームで初めてとなるWE ACTION DAYを迎えました。林さんはオンラインイベントに参加していましたが、印象に残っていることは?

OBの巻誠一郎さんとまさに“楽しむ”ことについて話しました。みんな活気があって、会話が多くて、練習の中でも笑いがあったり・・・サッカーに対していろんな楽しみがあると思うんです。そこで巻さんが「真剣に取り組むことを楽しむ」って言ったのが自分の中にスッと入ってきた。なんでもかんでも楽しもう楽しもうじゃなくて、真剣に自分たちが取り組むこと自体がもうこれが楽しいよねって思えることがある、そうだ、それだ!って(笑)あの日一番心にグッときた言葉でした。

——WEリーグが掲げるビジョンに“世界一の女子サッカーを”目指すというものがあります。林選手が考えるWEリーグの理想の形を教えてください。

“寄り添う”っていいですよね。例えばゴミが多いという問題があったら、それをWEリーグやチームが一緒に解決する。それが一番実現しそうだし、それをこれからはやっていくべき。もちろんカッコいいプレーをすることは当然で、それはピッチ上でやることで、誰も怠らないと思うんです。それとは別に地域の課題を一緒に取り組む、一緒に考えることが大事。地域のためにより身近な存在になれるのがWEリーグなのかなと思います。

——すごく理念を理解してますよね。選手間でも話をする機会があったんですか?

話しましたね。そこでキーワードとして出てきたのが「ワクワクする」という言葉でした。強いチームにとか、地域貢献とか、固く考えるのはやめよう、と。地域の人がワクワクするために千葉Lが出来ることをしよう。見に来る人も、私たちもみんながワクワクできることを考えて、そこをわかって行動するとまた違う千葉Lが出てくるんじゃないかなって感じます。

——千葉Lらしいキーワードですね。では最後にファン・サポーターへメッセージをお願いします。

千葉Lの試合を見て本当にワクワクする気持ちになってもらいたいし、サッカーを通して単純に楽しい!とか、元気になる!とか、また見に来たいと思ってもらえるようなプレーをします!ハラハラドキドキする試合も多いかもしれませんが、それをワクワクに変えられるような試合を届けたいと思っているので、応援よろしくお願いします。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

林香奈絵 (はやし かなえ)

1994年2月27日生まれ、兵庫県出身

DF、背番号4

西宮SC → 神戸FCレディース → 尚美学園大学 → ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

WE ACTION DAYのレポートはこちら

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