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インタビュー
2021.08.30
【WE INTERVIEW #26】~伊藤美紀選手(INAC神戸レオネッサ)~


150㎝を最大限に活かして唯一無二のウィングバックに

 

いつも笑顔でボールを追いかけている伊藤美紀は、所属するINAC神戸レオネッサでひと際体が小さい。それがひとたびピッチに入れば、たちまちその存在感が150㎝という身長を忘れさせる。誰よりも走り、相手のチャンスの芽を摘み、攻撃の起点となる。懸命にボランチというポジションに向き合ってきた伊藤だが、今シーズンは新しいポジションに挑戦。自問自答を繰り返しながら、今、その可能性が花開こうとしている。

  

——高校時代も含めて、攻撃型の選手というイメージがあるのですが、サッカーを始めてからずっと攻撃的なポジションでプレーしていましたか?

そうですね。FWは経験していないですけど、サイドとトップ下ではプレーしたことがあります。

 

——松田岳夫監督(現マイナビ仙台レディース監督)が就任された2015シーズンにボランチにコンバートされました。

たくさんボールを触れるポジションなので嫌だなとは思わなくて、いろんなことを吸収してやるぞ、という気持ちが強かったです。初めてなのでできないことも多くて、悩むこともありました。でもそれを一つずつクリアしてできることが増えていくのはすごく楽しくて。何より澤(穂希)さんがいつも隣にいたので、必死に食らいついていました。

 

——相手の攻撃の芽をつぶす重要な役割を、どのように身につけていきましたか?

私は攻撃しかやってこなかったので守備のことがわかりませんでした。松田さんに守備の仕方を徹底的に教え込まれて、「澤見てみろ」と言われたので、ずっと澤さんを見てマネしてやってみて、違うなって思ったらポジションを変えていく。そうやりながら自分がインターセプトするタイミングを掴んでいきました。

 

——ボランチでプレーするようになって心境の変化はありましたか?

上手い選手が多い中で私がポジションを任されるために、私を使いたいと監督に思わせないといけない。それには守備を鍛えなければいけないと思いました。その力を自分なりに試行錯誤していたら結果的にいろんなことができるようになって、体が小さくてもボランチで勝負できることを少しは証明できたのかなと思います。

 

——今シーズンから指揮を執っている星川敬監督も頭を使うプレーを要求します。

勝つために必要なことを逆算する監督だと思います。そこにプラスして、フィジカルに対する考え方も今までの監督と違って、チーム全体でのフィジカルトレーニングが増えました。取り組み始めて半年ですが、体の変化を感じています。

 

——球際での攻防も強くなりそうですね。

それ、実感あります!最初は1対1での守備が特に苦手で、体を当てにいってもスルっと抜けられてボールを奪えないことが多かったですが、フィジカルトレーニングが増えてスピードのある相手からでもボールを奪えるようになってきました。今はサイドのポジションでプレーしているので、私が抜かれたらクロスを上げられてしまうという危機意識が高まっていることも、1対1での守備が強くなった要因の一つだと思います。

 

——今の伊藤選手の旬なプレーを教えてください。

守備力は伸びたと思いますけど、やっぱり攻撃面です。サイドのポジションはなんでもできます。自分で裏を取れるし、その後シュートまでいける。その質を高めていきたいです!私にしかできないウィングバックになれると思っているので、その完成形を目指していくのが今、すごく楽しいです。

 

——理想のウィングバック像はすでに描けていますか?

はい。ウィングバックと言うとタテの動きがセオリーで、足が速い、一人で突破できる、フィジカルの強い選手がイメージされます。でも私はめちゃくちゃ足が速い訳でもないし、逆サイドからクロスが上がってきてヘディングで競る時に100%勝てるフィジカルがある訳でもない。それこそミスマッチが起こるかもしれない中で、タテの動きだけじゃなくて内側に入っていくプレーが増えると相手は嫌なんじゃないかなって。それをチームの武器にできたらいいと思っています。

 

——今年の私は〇〇が違う!というのはありますか?

機転が利くプレーの質が違う!突破力とか目立つ何かはありませんが、相手の嫌なところで受けて攻撃に絡んでいくとか、チームにとって居てほしいところにスッと入っていくプレーが得意です。流れを読んで機転を利かせることが私の特長だと思っていて、そこに磨きがかかるはずです(笑)

 

——WEリーグ開幕まであと半月となりました。ファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。

優勝を狙っています!でも、長くこのチームでプレーしてきて、落としちゃいけないところで落としてしまう勝負弱さがあることも感じています。メンタル的なところもみんなでもっと話していろんなことを成長させていきたいです。今年のINAC神戸は今までと違う魅力があります。こういう状況ですが、スタジアムに足を運んでINAC神戸の成長を見届けてもらえたら嬉しいです。

 

(インタビュー・構成=早草紀子)




【プロフィール】

伊藤美紀 (いとう みき)

1995年9月10日生まれ、青森県出身

MF、背番号6

木内々スポーツ少年団サッカー部ナカスポ → 常盤木学園高校 → INAC神戸レオネッサ

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