2025年5月11日、INAC神戸レオネッサがノエビアスタジアム神⼾で「INACを通じて、子どもも高齢者もみんなが集うスタジアムへ」を行いました。実施日は、2024-25シーズンのホーム最終戦(2024-25 SOMPO WEリーグ 第21節vsマイナビ仙台レディース)。スタジアム内外でたくさんの笑顔が咲き、WEリーグをみんなで楽しむ一体感が育まれた1日となりました。
今回、I神戸が実施したのは、子どもたちやスタジアム近隣の高齢者施設の方を対象に、選手たちとの触れ合いを通してクラブやWEリーグを身近に感じてもらう4つの複合イベントです。
まず「子ども限定イベント」として行ったのは、①WEリーグシルバーパートナーである旭化成ホームプロダクツ株式会社と協働した「ジップロック®リサイクルプログラム×SORAKASA ワークショップ」、②選手バスお出迎え③試合前ウォーミングアップ見学の3つ。
中でも多くの注目を集めたのは、場外で行われた「ジップロック®リサイクルプログラム×SORAKASA ワークショップ」。これは、旭化成ホームプロダクツ株式会社が行っている廃プラスチック問題の解決に貢献する活動です。ジップロック®をリサイクルした素材でオリジナル傘をつくることで、「持続可能な社会」や「循環型社会」について楽しみながら学びます。
2回に分けて行われた「ジップロック®リサイクルプログラム×SORAKASA ワークショップ」は、1回目にらいかちゃん。2回目にはサプライズで辻澤亜唯選手、菊地優杏選手たちが飛び入り参加し、子どもたちと一緒に傘を組み立てました。
今回は人数限定で行われましたが、らいかちゃんや選手たちの登場に「一緒にやりたい!」と見ていた子どもたちが足を止めて見学するなどブースが賑わっていきます。第2回目では、リサイクルなどに関する説明を選手たちが担当。とてもスムーズに説明役を担うと、参加者も見ているファン・サポーターも「これが傘になっていくんだ」と驚きの表情。選手たちの言葉に、しっかりと耳を傾けていました。
その後、傘づくりが進んでいくと、参加していた子どもたちに「骨組みを手伝うね」「上手にできたね」と声をかけていく選手たち。特に、この回にはジャマイカ出身のヴィアンサンプソン選手も参加。小さな子どもだけでは難しい組み立てをサポートしていたヴィアン選手が「Good」「Nice」と簡単な英語で話しかけると、子どもたちの顔に明るい笑顔が広がっていきます。
外国籍選手たちもこうしたイベントに顔を出し、子どもたちや参加者と交流することは、I神戸では自然な光景です。最初こそ「言葉の壁」があったとしても、選手同士のやり取りやコミュニケーションの様子を子どもたちが見て真似をすることで、多様性を知る心や人と人の自然な交流が育まれていきます。
選手たちも自然体でいるからこそ、この日も子どもたちが打ち解けていくのは早く「ありがとう」「これはどうするの?」と話しかけたり、目を合わせてジェスチャーで伝えたりするコミュニケーションが、どんどん増えていきました。
社会貢献につながる「ジップロック®リサイクルプログラム×SORAKASA ワークショップ」での活動。リサイクルに関する意識を高めることに加え、子どもたちや参加者が自然と“多様性”に触れ、学ぶ貴重な機会にもなっていました。
賑わった場外イベントの一方で、場内でもバスで到着する選手のお出迎えし、試合前のウォーミングアップをピッチのすぐ側で見学する「子ども限定イベント」が進みます。
思い思いのグッズを片手に、ウエアを身に着けた子どもたちは、応援ムード一色。期待に胸を膨らませながらも、試合前ということもあり、「がんばってねって声をかけてもいいかな」「カメラを向けてもいいのかな」とやや緊張した表情が浮かびます。それでも、選手たちが到着し、「応援してね」と明るく手を出すと、子どもたちもうれしそうにハイタッチ。「優しいし、かっこいい!」「試合でも応援をがんばろう」と明るい声が弾みました。
お出迎えイベントに参加していた杉田紗那さんと実歩さんは、I神戸のスクールに通ってサッカーをしていると言います。「雪の日に井手ひなた選手がスクールに来てくれてファンになった」そうで、「応援に行きたい」とお母さんに伝えて「試合観戦に訪れるようになった」と教えてくれました。
そのことを井手選手に伝えると「うれしい」と笑顔になりながらも「プロサッカー選手である以上、ピッチ外でも女子サッカーを広めるためにやらなければいけないことがありますし、私たちがACTION=行動を起こすことで広まるものもあると思います。行動を起こすことでファンになってくれたり、応援してくれたりする人がもっと増えていけばいいですよね」と思いを聞かせてくれました。
試合前のイベントに関しても「普段は試合前にファン・サポーターさんたちに触れる機会は少ないのですが、今日はたくさんの子どもたちと触れ合って『応援されているんだ。今日の試合もがんばらないと』と、強く感じました。ウォーミングアップ見学では、子どもたちも一緒に来てくれたご家族も、女子選手のスピード感や力強さも実際に味わってもらうことができたのでないかなと思います」と井手選手。
井手選手の言葉にあったように、バスでのお出迎えでは「がんばるね」「応援してね」と明るい笑顔を見せていた選手たちも、ウォーミングアップでは表情が一転。サッカー専用スタジアムであるノエビアスタジアム神⼾は、ピッチまでの距離も近く、選手たちの顔つきがぐっと変わる様子も、ボールを蹴る音も間近に感じることができます。「かっこいい」「ボールを蹴る音がすごい」と子どもたち。目を輝かせながら、真剣な表情でウォーミングアップに見入っていました。
そんなウォーミングアップ終了時には、最後までピッチに残っていた船田麻友選手が子どもたちのもとに駆け寄りハイタッチ。サプライズで起こった突然の出来事に、子どもたちもご家族も「うれしい!」と大興奮な様子を見せます。
船田選手は「もし、自分が見ている立場だったら、選手が来てくれるのはやっぱりうれしいと思いますし、思い出に残ると思います。今日は(子どもたちが)見学に来てくれているのは知っていましたし、スタジアムの一体感をつくるためと『来てよかった』と思える経験をしてもらえたらという思いからの行動でした。改めて、すごく近い距離で応援してもらっていることを体感しましたし、私もうれしかったです」
バスでのお出迎えやウォーミングアップ見学では、船田選手の名前入りタオルを掲げている姿も目にでき「見てくれている人がいるだけで、すごく力が湧きます。それが、プレーをする理由のひとつになります」と船田選手は話してくれました。
さらに、今回のWE ACTION DAYでは、高齢者を対象とした交流も実施されていました。それが4つの目のイベントとなった「試合後のピッチで選手との交流」です。今回、ノエビアスタジアム神⼾に招待されたのは、スタジアムから徒歩5分ほどの距離にある「高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫、オリンピア灘」の施設を利用するみなさん。
「これまでは子どもたちにフォーカスするシーンはあったのですが、今日は高齢者の方々も来てくださいました。私たちがピッチで躍動する姿を見て、より元気になったり、生きがいにつながったりしたらうれしいです」と船田選手が話してくれたように、幅広い年代にスタジアムに来てほしいという思いから、今回のイベントが実現しました。
「高齢者総合福祉施設オリンピア兵庫、オリンピア灘」では施設の様々な活動によって、サッカーへの情熱も高まっており、試合後のピッチには、車椅子や杖をつきながらも、ゲームフラッグや手づくりの応援グッズを掲げる高齢者の姿がありました。
その様子に選手たちは驚きつつも、すぐに満面の笑みが。選手たちもジョルディフェロン監督も高齢者一人ひとりに歩みより、写真撮影に応じたり、言葉を交わしたりする温かな光景が広がりました。
WEリーグを盛り上げたい。女子サッカーを好きになってほしいという願いが生み出す温かな一体感。それもまた、I神戸が大事に育んでいるものです。
クラブ創設時から魅力あるスタジアムづくりを進めてきたI神戸だからこそ、この日も、選手との触れ合いだけではなく、兵庫県や神戸を拠点とするプロスポーツチームのマスコットが集結して試合を盛り上げたほか、試合中も子ども向けのイベントが多い日だからと、大型ビジョンに映し出される選手たちの名前やチーム名はすべて“ひらがな”表示。小さな子どもでもわかりやすいように、選手たちを覚えてもらえるようにと考えられていました。
そんなふうに、「スタジアムでの1日は楽しい」というさまざまな“ACTION”が散りばめられたWE ACTION DAY。そこでつくり出した笑顔が追い風となって、ノエビアスタジアム神⼾で“推し”を見つけた高齢者施設の方は、すぐに練習にかけつけて熱い応援を送るなど、一人ひとりが輝く次の“ACTION”につながったと言います。
応援することの楽しさ。応援されることのうれしさが広がったノエビアスタジアム神⼾での1日。その原動力こそ、プロである選手たちの思いとクラブの思い。I神戸ではファンサービスなどの方法は選手たちに強く伝えることはなく、選手たち自らが“ACTION”を起こしているそう。
だからこそ、伝わるもの。広まるものがあり、それがスタジアムを包んでいました。「一度選手たちと交流してもらえれば、試合に来てもらえたら魅力は伝わる」という確固たる思いの中で重ねられた選手たちとの触れ合いも散りばめられた“ACTION”も、スタジアムに足を運ぶきっかけづくりのひとつ。でも、そのきっかけがかけがえのない時間となるからこそ、「また応援に行こう」という好循環が生まれていきます。
その雰囲気づくりを、魅力あるスタジアムづくりを、これからも変わらずに。I神戸はWEリーグに関わるすべての人たちとともに、続けていきます。