後半戦のスタートとなる2022-23 Yogibo WEリーグ第9節。サンフレッチェ広島レジーナは、WE ACTION DAYのイベントを広島県内3会場で実施しました。3月5日に「サンフレッチェ広島レジーナ×広島広域都市圏 サッカー教室」と「Femtech Japan/Femcare Japan in HIROSHIMA 2023サンフレッチェ広島トークセッション」、6日には小学校訪問を行いました。
ゆめタウン廿日市にある市民ホールでは、アスリート目線で女性特有の健康課題と女性活躍推進をテーマにした「Femtech Japan/Femcare Japan in HIROSHIMA 2023サンフレッチェ広島トークセッション」が開かれました。会場にはS広島Rのファン・サポーターや女性の健康に関心のある方を中心に、夫婦、親子、高校生など幅広い層が足を運びました。
3月8日の国際女性デーにちなんでミモザの花が飾られたステージに、サンフレッチェ広島レジーナの中村楓選手、立花葉選手、瀧澤千聖選手と、サンフレッチェ広島の森﨑浩司アンバサダーが登場すると、温かい拍手で迎えられました。
今回のテーマであるFemtech(フェムテック)とは、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するという考え方。最近では少しずつ認知度が高まっていますが、まだまだ知っている人が多くない現状があります。実際にイベントに参加した約30名のうち、この言葉を知っていると挙手をしたのはわずか1割ほどでした。難しくセンシティブなテーマながらも、MCの掛本智子さんが丁寧に解説しながら、笑いを織り交ぜて進行。トークは和やかな雰囲気で進みました。
「生理・月経」の話題では、中村選手から、食欲や体重のコントロールの難しさ、むくみ、だるさなど、コンディション調整の難しさが明かされました。瀧澤選手からは「生理の4日前に最も膝前十字靭帯損傷に怪我をするリスクが高いというデータがある」という海外の事例を紹介。実際に瀧澤選手の周りでも生理の前に前十字靭帯の怪我を負った選手が多いといいます。
森﨑さんも「男性がもっと認識しないといけない。レジーナの中村伸監督をはじめ男性の指導者にも(選手の月経周期やコンディションについて)知っていてもらわないといけないですね。いい勉強になりました」と感慨深げに話しました。参加者の中にはメモを取る人もいるなど、皆熱心に耳を傾けていました。
WEリーグで出産後復帰した選手は2名です。そうした現状について話が及ぶと、アメリカでのプレー経験がある立花選手は「アメリカの代表選手は半数がママさんプレーヤー。出産した選手が復帰できるようサポートする環境が整っていることが大きい」と語りました。中村選手も「WEリーグにもそういう環境が整えば、WEリーガーを目指す子どもたちの選択が広がるのでは」と期待しました。
イベントの最後には、質問コーナーが設けられました。「食事について気をつけていることは?」「バスや新幹線の席順はどうなっているのか?」という質問に選手たちも笑顔で答えました。
ファンとの交流も楽しみ、予定時間より延長した濃密なイベント。終了後、登壇者も参加者も一様に「認識が変わった」「参加してよかった」と声を揃えました。
同会場で「生理の貧困」の問題などを展示・発表していた進徳女子高等学校の大成咲花さんと大田諒さんは、トークショーにも参加して真剣に話に聞き入っていました。大田さんは「私たちは女子校なので、生理について比較的オープンに話ができるけれど、共学の友人からはやっぱり言いづらいと聞いたことがあります。どうすれば、みんなが生理を重くとらえず、日常的なものと捉えられるのかなと考えることはあります」と話しました。
ご夫婦で参加した村本真得さんと寿枝さん。夫の真得さんは「男性としては全く知らないことばかりでした。具体的な話を聞いて、女性アスリートの大変さをあらためて知ることができ、見方が広がりました」と語り、妻の寿枝さんは「夫婦で一緒に来てよかったです」と関心を深めた様子でした。
広島県イクメン推進アンバサダーとしても活動する森﨑さんも、「女性ならではの悩みは、男性からは聞きづらいし、女性からも言いづらいと思う。今回のイベントも僕がいない方がいいのかもと思っていたのですが、これは女性だけの問題ではなく男性もしっかりと認識し、共有していかないといけないですね」と語りました。
立花選手は、「こういう話を人前で話すことに最初は抵抗がありました。でも、イベントがきっかけで仲間と話せていい機会になりました。多くの女性が持っている悩みだとあらためて知ることができましたし、逆になぜ今まで話してこなかったのだろうと思いました。今回、男性も話を聞いてくださったのはうれしいですし、参加した皆さんに認識が変わったと言っていただけて話をしてよかったなと思います。発信していくことで女性が生きやすい社会が生まれるのであれば、こんなにうれしいことはないですね」と笑顔を見せました。
女性が直面するさまざまな問題や悩みを一人で抱えるのではなく、発信し、みんなで共有する。そうすることで、女性はもちろん、男性にとっても生きやすい社会へとつながっていく。その理解をより深められる有意義な活動となりました。