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インタビュー
2022.12.22
【WE INTERVIEW #57】~立花葉選手(サンフレッチェ広島レジーナ)~


失意の底で自覚した“強み”をブラさず突き進む

幼少の頃、アメリカで立花葉のサッカー人生はスタートした。U-17女子ワールドカップメンバー落選という経験をし、もがき苦しんだことで自らの強みを初めて自覚した。高校卒業後、再びアメリカで研鑽を積んだ彼女は、セレクションを経てWEリーグの舞台に立った。新たな武器を加え、彼女の信念は揺らぐことなくWEリーグでも貫かれている。

——立花選手のサッカーは、7歳まで住んでいたアメリカで始まりました。

サッカースクールのチラシをもらってきて、母に「行きたい!」とせがんだそうです。チームメイトは良い子ばかりで、私が点を決めるとみんなで喜んでくれて嬉しかった思い出があります。

——帰国後は日本でサッカーを続けました。

最初は近所にある男子のチームに入ったんですけど、私が唯一の女子だったので特別扱い、よそ者扱いで、これならサッカーはやりたくないと思いました。その後母が名古屋にある女子のチームを見つけてくれて、体験に行ったらアメリカで感じていたものと同じ楽しさを感じました。当時は7歳でしたが、「国を越えてもボール一つで繋がることができるサッカーはすごい」と子どもながらに思いました。その頃は日本語で話せなかったので上手くコミュニケーションを取れていませんでしたが、それでもみんなとサッカーをしたいと思っていました。

——今に繋がっているターニングポイントはいつですか?

たくさんありますが、一番はU-17ワールドカップのメンバーに選ばれなかった時です。でもそれまで日本代表に選ばれていてものびのびプレーできないと感じていたので、心のどこかでは「落とされるかも」と思っていました。落選は本当にショックでしたし、自信を失くしてもがき苦しんだ時期でした。

いろんな人に「私はどんな選手ですか?」と聞き回るくらい悩んでいましたが、当時所属していたJFAアカデミー福島でスペイン人のコーチが「君は素晴らしい選手なんだよ」と言い続けてくれたことに救われました。オフザボールの動きを評価してくれて、そこが私の強みなんだ、もっと自信を持って良いんだと思えるようになりました。それまでは自分の強みを自覚していなかったので、日本代表に選ばれなかったことが気づくきっかけになり、JFAアカデミー福島で試合に出続けることで経験を積んで、練習をする中ではっきりと自覚していくことができました。

——その後、アメリカの大学へ進学します。

なかなか思い通りにいきませんでした。出場機会を求めて2年生の時に転校し、そこから試合に出場できるようにはなりましたが、納得するプレーができるようになったのは4年生になってからでした。監督から最後の大会の前に「トーナメントでは人に任せるプレーはいらない。気づいたら自分で全部やる気持ちでプレーしろ」と言われたことで、カバーリングや危機察知能力が伸びたと思います。

——現所属のサンフレッチェ広島レジーナへは、セレクションを経て入団しました。

私にはWEリーグに行く手段がセレクションしかなかったので、ネットで探して応募しました。当日はガチガチに緊張していて、アップの段階でもう足がつりそうでした(笑)。スピードの部分は絶対に見てほしかったので、長い距離を走るプレーをしようと思っていました。

——スピードは立花選手の大きな特長ですね。

昨シーズンのリーグ戦でも、スピードで勝負できたと思います。アメリカではスピードを求められることがなかったので、特長になるほどだと気づいたのは日本に帰ってきてからのここ2年くらいです。試合中に「あれ?私、もしかして速い?」と思ってビックリしました(笑)

——交代で出場する場面も見られますが、途中から試合に出る時に心がけていることはありますか?

守備のところでスイッチを入れる役割があると思っているので、長い距離を走ってでも相手を焦らす守備をするように意識しています。

——ここからどんなWEリーグにしていきたいか、立花ビジョンを教えてください。

地域の方々に愛されるクラブになれば、愛されるリーグに繋がると思いました。アメリカにいた頃は、街の人たちが大学カラーの服を着て歩くのが当たり前の風景でした。“大学”には歴史があるので、私たちはまだまだ同じようにはなれないですけど、地域のこどもたち、親世代、おじいちゃんおばあちゃん世代も観に来て良かったと思ってもらえるような試合をしないといけないと思います。

——スタジアムに応援に来てくれるファン・サポーターに、今シーズンはどんなプレーを見せてくれますか?

今シーズンから(瀧澤)千聖が来て、コミュニケーションを重ねることで攻撃のバリエーションが増えました。個人としては、長い距離を走っても落ちないクロスの精度に注目してほしいです。あとはゴールも決めたいです!昨シーズンからここまで3点決めてるんですけどすべて左足なので、今は左足を重点的に練習しています。個人的にはトーナメントでの試合が得意だと思っているので、皇后杯を含めて今シーズンはあと3ゴール決めます!

先日、(日テレ・東京ヴェルディ)ベレーザとの試合で初めて私たちのチャントを聞いて、心が震えました。ホームではどんな風になるのかめちゃくちゃ楽しみです!ぜひ応援よろしくお願いします。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

立花葉(たちばな よう)

1997年6月17日生まれ、愛知県出身

FW、背番号26

名古屋FCレディース → JFAアカデミー福島 → Florida State University (アメリカ) → Central Connecticut State University(アメリカ) → NGUラブリッジ名古屋 → サンフレッチェ広島レジーナ

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