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インタビュー
2022.09.08
【WE INTERVIEW #50】~杉田亜未選手(ノジマステラ神奈川相模原)~

WEリーグでチャレンジしたい

9年前、杉田亜未は初めて“世界”を知り、「今の自分ではダメだ」と、一から見つめ直した。対抗できる身体作りをしてサッカーと向き合い続けた。そこから女子サッカーの環境が変わり、プロ化したピッチに彼女の姿はなかった。昨シーズンはなでしこリーグでタイトルも手にしたが、満たされない。そして掴んだノジマステラ神奈川相模原への移籍——すべてはもう一度、高いレベルにチャレンジするため。その青写真はすでに彼女の中に広がっている。

——サッカー観が大きく変わった時期はありますか?

日本代表に初めて呼んでもらったのが大学生の頃で、当時代表には澤(穂希)さんや宮間(あや)さんがいて、そのプレーを間近で見て「私は何もしていなかった」と痛感しました。視野の広さ、選択肢の多さ・・・どれを取っても足りていない。身長が低いだけでなく筋肉もなかったので、海外の選手に対抗できませんでした。

——当時の日本代表戦で印象に残っている対戦は?

アメリカとの対戦は特に強烈に覚えています。トビン・ヒース選手は足元の技術もスピードもあるし・・・。スン!って抜かれて(笑)。本当に何もさせてもらえず終わりました。

——それからどんなことに力を入れましたか?

身体改造です。日本代表のメンバーに徐々に選ばれなくなって、やっぱり考えさせられましたね。走るにも蹴るにも、お尻の筋肉が大事です。ケガ予防にもなりますし。個人トレーニングを始めたら体重も増えて、筋肉がついてきました。これは日本代表に選ばれた経験があるから気づけたと思います。

——肉体の変化で思うようなプレーができるようになりましたか?

はい。以前は身体の当たり負けをして転ぶことが多かったですが、そこで耐えられるようになりました。見てくれていた監督にもそう言われましたし、変わった実感はあります。

——前所属の伊賀FCくノ一三重には8年間在籍しました。培ったものは?

4人の監督の下でサッカーをしたことで、順応力はついたと思っています。それぞれ持っているサッカー観も戦術も違いました。たくさんの監督と出会えたことでプレーの幅が広がったと思います。

——その後、ノジマへの移籍を決断しました。

ノジマへの移籍は、私の中では早い段階から決めていました。WEリーグに行きたいと思っていたので、必要としてくれるなら行こうと。

——なでしこリーグで戦っていたチームがWEリーグへ移行し、周りの環境がどんどん変わっていきました。

実際、レベルの差は大きかったです。それを感じる度に、もう一回上のレベルでやりたい、もっとチャレンジしたい気持ちが湧いてきました。

——WEリーグの後期日程からチームに合流して、試合に出場しました。3ゴールという数字をどう捉えていますか?

ゴールを決められる場面はもっとあったので、この数字をもうちょっと増やしたかったのが本心です。プレーの質でも課題が多かったので、悔しさのほうが残りました。

——PKでの得点もありましたが、あとの2ゴールはこぼれ球から決めています。その位置にいるということが大切ですが、不思議なほど杉田選手のところにこぼれますよね。得点の匂いを感じたりするのでしょうか?

あははは(笑)。今走ったら絶対に何か起こるだろう、と感じて走り出すことはありますね。逆に私がアクションをして何かを起こしたい気持ちもあります。昔からこの感覚はありましたね。

——7月には日本代表メンバーへの復帰を果たし、E-1選手権を戦いました。

日本代表に選ばれたと聞いた時はビックリしました!でも、E-1選手権は悔しいだけで終わってしまいました。攻撃では自分のプレーを出せるところがありましたが、守備では思い切ったプレーができなかったので、今後の課題になりました。久しぶりの日本代表では年齢で上から2番目で、一番上は菅澤(優衣香)選手1人で、5年離れるとこんなに上の世代になるのかと、時の流れをいろいろ考えました(笑)

——ノジマの新監督、菅野将晃監督の下でのサッカーはどうですか?

ボールを繋ぐサッカーなので、自分のスタイルに合っていると思います。ノジマは足元が上手い選手が多いですし、私もその中で流れを作れるようにしていきたいです。練習は毎日キツいですけど(苦笑)

——厳しい練習の合間のオフは何をして過ごしていますか?

最近は温泉に行っています。サウナと岩盤浴が特に好きで、デトックスしています。サウナはもともと苦手でしたが、すぐに出ないで頑張って我慢して水風呂に入って整える、ということをやってみたら良かったです!気持ちいいですよ。水風呂が苦手ならまずは腰までいきましょう!それで一回整えに行ってみます。何かを考えたりしちゃダメですよ?寝に行くつもりで無になるんです。

——杉田選手・・・もう悟りの域ですね。

あれ?私疲れているのかな(笑)

——ではここでみなさんにしている質問です。杉田選手が考えるこんなWEリーグにしたいという杉田ビジョンを教えてください。

女子サッカーを観に行きたい!と思ってもらえるきっかけ作りが必要だと思います。サッカーをプレーしている闘志溢れる姿だけでなく、それ以外の個性を知ってもらう関わりが欲しいです。今はコロナ禍ということもありますが、もっと身近に感じてもらえるようなイベントがしたいですね。

——杉田選手にとってノジマのホームタウンである神奈川県は地元ですよね?

そうなんですけど、神奈川にいたのは高校生までで行動範囲が狭かったので、ほとんど知らないことに気づきました。そうだ!私なりにいろいろ見つけて発信していきます。それが興味が湧くきっかけになるかもしれませんよね。

——では最後に。今シーズンはどんなプレーを見せてくれますか?

今シーズンのノジマは、複数の選手の連係でボールを動かしてゴールに向かっていくのが魅力です。個人としては、アクセントになる動きや流れを変える動きを見てほしいです。時には、ここでシュート打つ?というタイミングでシュートを打ったり、リズムの違うプレーを出せるようにしていきたいです。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

杉田亜未(すぎた あみ)

1992年3月14日生まれ、神奈川県出身

MF、背番号10

相東SC 大和シルフィード → 湘南学院高校 → FC吉備国際大学Charme → 伊賀FCくノ一三重 → ノジマステラ神奈川相模原

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