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インタビュー
2022.08.25
【WE INTERVIEW #49】~佐々木繭選手(三菱重工浦和レッズレディース)~


コツコツと女子サッカーを知ってもらう活動を

いい意味でガツガツはしていない。相手の死角から距離を詰め、涼し気に且つ確実にボールを奪う。スーッと左サイドを上がっていったかと思えば、いつの間にかゴール前でフィニッシュを狙う姿を見つけることもある。派手なプレーではなく、冷静に味方と馴染みながら好機に繋げるのが佐々木繭。オフザピッチでもそのスタンスは変わらず、自身の視点でWEリーグを盛り上げようと邁進している。

——サッカーを始めた頃から、ポジションはいろいろ経験してきていますか?

サッカーを始めた小学5年生の頃はフォワードでプレーしていて、点を獲るタイプでした。中学生の時に日テレ・メニーナに入ってサイドバックを、高校の聖和学園ではトップ下、ボランチになって、ベガルタ仙台レディースに入ってからサイドバックに戻りました。

——いろんなポジションを経験したからこそ、サイドバックの面白さはどんなところですか?

試合全体を見られて、攻撃も守備もできる。あ、でも全部のポジションそうか!(笑)。サイドハーフやボランチと連係してボールを奪えた時は「よっしゃ!」と思います。ゴール前での攻撃も盛り上がって楽しいですけど、タイプ的に地味なプレーの方が好きなので。

——これまでターニングポイントはありましたか?

私の場合は、小学生の時にサッカーかクラシックバレエかを選んだところだと思っています。バレエでも役をもらえるところまで頑張っていたのですが、育成会でのサッカー大会に友達と参加して、そこからサッカーに夢中になってしまって、外で暗くなるまで一人でボールを蹴るようになりました。

——中学進学時にメニーナを選ぶというところに夢中の濃度がわかりますね。

同期にはマナ(岩渕真奈)や、ノジマステラ神奈川相模原の小林海青とか、ちふれASエルフェン埼玉の木下栞がいました。私は高校からチームを離れましたが、みんなの活躍には刺激を受けていました。

——岩渕選手とは2016年のなでしこジャパン初招集時に再会していますよね。

マナと一緒にプレーできるのは嬉しかったですけど、アメリカと試合をすることへの衝撃が大き過ぎて・・・。入場した時に、観客の多さと歓声の大きさに圧倒されてしまって、もう吐きそうでした(苦笑)。自分の情けなさ、力不足を痛感した遠征でした。

——なでしこジャパンの経験を経て、何か変化はありましたか?

あの頃の私は自分のプレーを理解していなくて、いつも通りやればいいよと言われても、何をしていいかわからなかった。すごくもったいないと思って、それから自分のプレーを分析するようになりました。その結果、フィジカルもスピードもないですけど、シンプルにプレーして周りと上手く合わせられるところでやっていけるんじゃないかなと。浦和に移籍して4シーズン経ちましたけど、監督が代わっても使ってもらえるのはそこが理由かなと思っています。

——浦和に来てから成長を感じるところは?

ポジショニングは、以前よりも経験値が上がって良くなっている、はずです(笑)。ポジショニングを良くすれば良い視野を持つことができて、プラス周りの選手のポジショニングが良いと選択肢が増えます。今の浦和は本当に運動量が多くて、みんなのサポートの位置が良いので、落ち着いてプレーすることができます。相手選手の間にあれだけ顔を出してくれるので、めっちゃ助かります(笑)

——昨シーズンは皇后杯を優勝することができました。

あの瞬間は最高でしたね。「今年しかないでしょ!」みたいな周りの期待も感じました。プレッシャーもありましたが(笑)

——WEリーグでも同様の期待はありましたよね。

ケガ人が出るなど計算外なこともあって、なかなか勝てなかったのはチームの力不足だと思っています。徐々にバランスが良くなってきて、終盤は良い戦いができました。2位という結果でしたけど、苦しみながらも良いシーズンだったと思います。

——印象に残っている試合は?

日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦は悔しいことが多いですね。「やられた!」と思う瞬間が多いです。

——ここでみなさんにしている質問を。こんなWEリーグにしたいという佐々木ビジョンを教えてください。

コロナ禍という状況はありますけど、もっと身近に感じてもらうことが応援してもらえる近道だと思っています。私は浦和の練習場で働いているので、利用者さんやスクール生とかとなるべく交流して、オフにはスクールにもできるだけ参加しています。YouTubeなどSNSを利用して名前や顔を売ることも大事にしているので、他の選手も巻き込んでいけたらいいなと思っています。あとは、ファン・サポーターのみなさんの目線で選手にやってほしいことがあるんじゃないかと思い、企画をSNSで募集してみました。みなさんいろいろアイデアを送ってくれて、面白い企画ができそうなので楽しみにしていてください。こうしたサッカー以外のところでも、女子サッカーを身近に感じてもらえるようにコツコツ活動していきたいですね。

——カップ戦も始まり、今シーズンは佐々木選手のどんなプレーを見せてもらえますか?

個人的には、対人の強さを高めるため、今年からフィジカルコーチと一緒に動きの改善に取り組んでいます。2歩3歩目の速さや、踏ん張りがきくようにしたくて、お尻を鍛えています。なので、多少はレベルアップした佐々木が見せられると思います!カップ戦でどういうチームになっていくかを確認しつつ、リーグ戦開幕までにしっかりと仕上げていければと思います。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

佐々木繭(ささき まゆ)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身

MF、背番号4

藤野FC2000 相模原SCコプリス → 日テレ・メニーナ → 聖和学園高校 → 武蔵丘短期大学 → ベガルタ仙台レディース → 三菱重工浦和レッズレディース

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