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インタビュー
2022.06.16
【WE INTERVIEW #46】~千葉玲海菜選手(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)~


強さとスピードだけじゃなく“上手さ”を見せたい

ジェフユナイテッド市原・千葉レディースは、WEリーグ開幕シーズンを4位でフィニッシュ。千葉玲海菜の得点力が後押しをした。筑波大学在学中から特別指定選手として千葉Lを知り尽くしているからこそ、卒業直後の加入であっても見事にフィットしてみせ、仕留めたゴールは「6」。なでしこジャパン候補入りも果たし、WEリーグ初年度の優秀選手にも選ばれるなど、その勢いはとどまらない。そんな千葉が目指すものとは——

——2つ上のお兄さんの影響で始めたというサッカーですが、初めて女子サッカーに身を置く環境として藤枝順心高校を選んだ理由は何だったのでしょうか?

当時は日ノ本学園や常盤木学園が強い時代だったので、藤枝順心に入って強い2校を倒してみたいと思いました。藤枝順心のサッカーはすごく頭を使います。プレーが上手くいかなかったときにどうするか、サッカーは11人でやるスポーツなのでどう味方を活かすのか、自分が活かされるために周りをどう活かすのかを高校時代に学びました。試合前に相手を分析して、ウィークポイントに合わせて準備していたものが試合で上手くいったときの楽しさは格別でした。

——いろいろなポジションを経験していますよね。

高校1、2年生の時はトップ下でプレーしていました。3年生ではアンカーで、最終ラインにも入っていました(笑)。大学生の時はずっとフォワードでしたけど。

——アンカーは想像つかないです!

でもやっぱり私にはフォワードが合っていると思います。私の長所は背後への抜け出しとか、身体の強さやゴール前での強さなので、後ろのポジションよりも前線にいた方が活きると大学生の時に感じていました。

——そしてWEリーグで戦うことになりました。

プロリーグということでJリーグや海外のプロのリーグをイメージしていたので、観客数のところで課題があると感じました。でもプロ選手はサッカー中心の生活ができるので、大学生の時よりも体に気を遣えています。食事の面など見えないところでこだわっています。

——料理はしますか?

大学で自炊生活だったので、料理をすることは結構好きです。きっちりグラム数を量るまではしていませんが、バランスの良い食事を意識しています。ホイル焼きは手軽なのでよく作ります。あとはササミをひじきと一緒に煮て、アスリートひじきと呼んでいます(笑)

——アスリートひじきは初めて聞きました(笑)。千葉Lは後期にチームの成熟度が高まっていきましたが、手応えを掴んだのはいつ頃ですか?

大学を卒業して後期から出場し始めて、最初の相手が三菱重工浦和レッズレディース、次がINAC神戸レオネッサと強豪続きだったうえにポジションが左のウィングバックだったので、なかなかゴールに絡めませんでした。でもI神戸戦の後半から本職のセンターフォワードに変わって、次のサンフレッチェ広島レジーナ戦あたりから手応えを感じました。1点獲れたことも大きくて、自分の長所をWEリーグでも出せると思いました。

——そこから一気に駆け上がり、最終的にはWEリーグの優秀選手に選ばれました。

後期日程からの出場だったので、賞を頂くのは難しいと思っていました。優秀選手は、自チームだけでなく他チームの選手の投票も合わせて決まるので、相手のチームが嫌がる存在に少しはなれていたと思い、自信になりました。後期だけの出場で6点取れたので、インパクトを残せたかな(笑)

——特長の背後への抜け出しで大事にしている感覚はありますか?

背後へ抜け出すタイミングはパスの出し手とまだまだ合わせていかないといけないですが、私は他の選手よりも少し無理がきくので、ルーズボールや、ちょっと遅れたり乱れたりしたパスにも追いつけます。出し手の狙いじゃないところでも身体を張れると思います。これは大学時代に格上のチームと対戦していたから泥臭くなれたというか、鍛えられました(笑)

——なでしこジャパンにも選出されました。なでしこジャパンに対してのイメージは?

遠い存在でしたね。代表に新しく入るには目に見える結果を残すか、何かチームに良い影響を及ぼしている選手じゃないと厳しいとわかっていました。なでしこジャパンに入りたい想いも持ちながら、WEリーグでの毎試合がアピールの場だと思っていたので、何かしらしてやろうと思って臨んでいました。そしたらたまたま4月のキャンプで追加招集されて。周りの選手の経験値が高いので毎日が学びで良い刺激になったし、自分の足りないところが明確になってとても楽しかったです。

——そんな経験も重ねて戦ったシーズンでしたが、千葉Lの強みはどこに感じていますか?

全員で戦うことがジェフの良いところですね。守備は全員で戻るし、攻撃になったら全員で上がる。その中で私の仕事はゴール前でボールを収める、起点になる、ゴールを決めることです。今シーズンはクロスで合わせる形が少なかったので、背後に抜けるだけじゃなくて良い形でボールを受けることと、一人で打開できる力を身につけたいです。

——印象に残っているご自身のゴールは?

第16節マイナビ仙台レディース戦の1点目です。全員で守備をしてハーフウェイラインを過ぎてから奪って、そこからドリブルをして最後は相手ディフェンダーの股を抜いて、ゴールキーパーのタイミングを外して打ちました。力強いシュートに頼らず、タイミングと技術を本当に発揮できたゴールかなと思っています。



——ではここでみなさんに聞いている質問を。こんなWEリーグにしたいという千葉ビジョンを教えてください。

プロサッカー選手が女の子の憧れの職業になるといいですよね。小学一年生の男の子に「女子でサッカーやっているの?」と言われることがあって、まずは女子サッカーが認知される必要があると感じます。ワールドカップでなでしこジャパンが優勝したら必ず注目されるので、そのためには自分たちが競技力を上げていかなければなりません。すぐには無理だけど、今の地道な努力が重要だと思います。

——最後に、来シーズンはこんなプレーを見せます!というのをお願いします。

私にとって点を獲ることは重要な役割ですが、私がボールを持ったら何かしてくれそうだと思ってもらえるように、ワクワクさせるプレーを観せたい。今は“強い”、“速い”と言われますが、“上手さ”を観せられるようにします!

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

千葉玲海菜(ちば れみな)

1999年4月30日生まれ、福島県出身

FW、背番号15

すずかけSSS リベルダード磐城 → 藤枝順心高校 → 筑波大学 → ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

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