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インタビュー
2022.03.10
【WE INTERVIEW #40】~松本茉奈加選手(ノジマステラ神奈川相模原)~


器用ではないからこそすべての瞬間を全力疾走!

ゴールキーパーの手中に収まる最後の瞬間までゴールを諦めない。ゴール前での決定的な仕事を任される松本茉奈加のプレーに詰め込まれた熱量は、そのまま観客に注ぎこまれる。だから、彼女のプレーにスタンドから惜しみない拍手が送られることは珍しい風景ではないのだ。前期、わずか1ゴールに終わった悔しさを抱えて、中断期間はあらゆる改善に注力してきた。このまま終われない——ノジマステラ神奈川相模原のゴールゲッターが大きな覚悟を持って後期に挑む。

——常に前を向くプレーが印象的な松本選手ですが、大学時代はネガティブ思考だったというのは本当ですか?

今は成長したと思うんですけど(笑)、当時は自分に自信がない分、一つミスをしたらとことん落ち込んでいました。それこそ、全部自分のせいで負けているというところまで行ってしまう。でもそれはサッカーのことを何もわかっていなかったからで、一つのプレーに重みを感じ過ぎていたんだと思います。

——ノジマステラ神奈川相模原に来て変化があったのですか?

大学4年生くらいには今のように前向きなマインドになっていたと思いますが、ノジマに入ってさらに気持ちの切り替えの早さが身に着いたと思います。すぐに次の試合が来るので、すべてを気にしていたら間に合いませんから。

——落ち込みがちな頃は、進学など環境が変われば大変なことも多かったと思います。ここまでサッカーを続けてこられた原動力とは?

一番最初の挫折は中学生の時です。初めて女子だけでサッカーをやる環境になって、いろいろ大変なこともあったんですけど、それでもサッカーをやりたい気持ちが大きかった。ケガをした時もサッカーがやりたいからリハビリを頑張れたし、その気持ちがなかったらここまで続いていなかったと思います。

——そこまで松本選手を惹きつけたサッカーの魅力とは?

何よりも自分自身を一番表現できる場所でしたね。サッカーをしていて一番嬉しいことは、勝つことよりも点を取った時に一緒に喜んでくれる人がたくさんいることでした。またこの景色を見たいと思って、それが原動力になります。それを求めているから今もまだ続けていられるんだと思います。

——苦しかった中高時代、これだけはやり抜いたと思えることは?

練習に全部参加することです!ケガをした時はさすがに参加できませんでしたが、ウソがつけないというか、ごまかせないんですよ。だから全部に全力でした。もっとやりようはあったのかもしれないですけど、見る人は見ていると思ったのでそこは貫きました。

——それは今の松本選手のプレーに現れていますね。

人に希望を届ける、とかカッコいい言葉じゃなくて、見ていて楽しい、あの選手だったら何かしてくれるんじゃないか、と思ってもらえるようなプレーを心がけています。そこをもっと感じてもらえるようにしたいし、ノジマの選手たちと引き出してやっていきたいです。

——WEリーグを実際に戦ってみた感想は?

やっぱりみんな上手いなと素直に感じました。でも、自分のスピードはココでも発揮できる、通用するとも思いました。勝てる試合は少なかったし、もっと技術があれば得点できる場面もありましたけど、勝負できる実感もありました。

——WEリーグでのチーム初ゴールは松本選手でした。右サイドからサンデイ ロペス選手がボールを収めて松本選手へ。まさに今季のノジマが目指すゴールでした。

あそこは常に狙うようにと言われていて、自分にとってもああいう形は得意です。強弱のテンポある攻撃がノジマのプレースタイルなので、あれは考えなくても走り出せました。

——印象に残っている試合はありますか?

第6節のINAC神戸戦(●0-1)ですかね。首位のINAC神戸は無敗で失点もありませんでした。対して自分たちは全然勝てていないうえに、試合の前々日にキャプテンのケガがあって、ハプニング続きの中でフォーメーションを変えて、みんなで必死に準備をしたんです。実際に試合に入って、あの90分間は勝てる気がした。それなのに勝ち切れなくて、自分にガッカリしました。このチームで勝てると思えたからこそ、すごく悔しくて印象に残っています。

——ここでみなさんにお伺いしている質問を。さまざまなビジョンを掲げているWEリーグですが、どんなリーグにしていきたいか松本ビジョンを教えてください。

サッカーという競技は男女ともに同じルールなので、男女という概念にとらわれずに楽しめるスポーツになってほしいです。先日の北京オリンピックを見て、スポーツはパワーを届けるものだと改めて思いました。「自分もがんばろう!」と思ったし、WEリーグもそういう存在になりたい。あとは、家族みんなで外に出る目的になるのも良いですよね。思い立って簡単に観に行けるものをWEリーグが示せるようになりたいです。

——WEリーグ元年の後期、松本選手はどんなプレーを見せてくれますか?

スピードを生かしたプレーはもちろんですが、泥臭くても観る人に何か伝わるプレーをしたいです。本当に一生懸命やらないとみんなに追いつかないので、それができなくなったら選手として終わりだと思っています。なので全力疾走します!チームとしても後期は必ず挽回します!

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

松本茉奈加(まつもと まなか)

1999年2月10日生まれ、神奈川県出身

FW、背番号20

S.C東戸塚十文字中学 → 十文字高校 → 早稲田大学 → ノジマステラ神奈川相模原

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