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インタビュー
2021.12.02
【WE INTERVIEW #33】~三谷沙也加選手(AC長野パルセイロ・レディース)~


愛と笑顔をモットーに見てくれる人のパワーの源になる

WEリーグの選手規範であるクレドに“愛”という言葉が入ったのは、AC長野パルセイロ・レディースを代表して熱いプレゼンを行った三谷沙也加の存在があったからだ。キャッチーなフレーズは発信力を高める。発信は三谷の得意分野でもあり、笑顔で“愛し愛される重要性”を説くそのパワーに地元のファン・サポーターは魅了される。そして、試合中にも見せる彼女の笑顔に秘められた深い想いに触れることができた。

——6歳で始めたサッカーを好きになったきっかけは覚えていますか?

兄もサッカーをしていて、両親もサッカーに関わっていたので、私もサッカーか、という流れになりました(笑)。それでもピアノや書道、キックベースボール、テニス、陸上、水泳となんでもこなしていた方で、中には本格的にやってみないかという誘いもありましたが、最終的にサッカーが残りました。負けず嫌いだったのがよかったのかもしれません。

——「負けず嫌い」というと?

サッカーで一緒の学年が7人しかいなくて、そのうち2人が女子でした。負けず嫌いで男子に負けたくないという気持ちが強くて。でも男子にしたら女子に負けたくないというのもある。そのぶつかり合いが上手く「やってやるぞ!」という形につながったのだと思います。

——いろんな人の助けが相まって、今につながっていると思います。あのときのあの教えが今の自分を作っていると感じることはありますか?

中学2年生のときに1つ上の女子の先輩がいたんですが、男子のクラブチームにも入っていて、12分間走とか、男子にも負けないくらい体力がある人でした。それを見て「自分もやらなきゃ!」と思いました。男子に負けない体力があれば、自分も男子の中でやっていける。そうすれば女子でやったときにみんなを引っ張っていけると。今、運動量を誇れるのは先輩の背中を追いかけていたこの時期があったからだと思います。あとは、苦しんだり、悩んだりしたときに感じたのが、“笑う”ことも大事だけど、“笑える”ことはもっと大事だということでした。苦しい時に“笑える”って何かがないと笑えないじゃないですか。こういう部分は大事にしていきたいです。

——そこからいろいろ激動の流れが始まる訳ですが、やはり高校3年時の前十字靭帯断裂の影響は大きいですか?

自分としてはそのケガから大きく変わってしまったと思いますが、それを言い訳には出来ません。ただ、自分の中でスピードは結構速いと思っていましたが、そこになかなか自信を持てなくなりました。代わりに、駆け引きのところで一つ一つ考えるようになった。先に一つここに行っていると相手に不利、有利というのを考えること、予測すること。守備でも相手の方が足が速いと思えば、一歩でも二歩でも先に良いポジションを取っておくといった先取りの感覚を持つようになりました。

——辛い時期を超えて今やWEリーグの舞台に立っています。

WEリーグが始まるにあたって注目度がまず違いました。勤めていたときも職場でプロ化のことを知らない人はいない状態でした。今まで以上に人から見られているという感覚があり、影響力をすごく感じました。その中で自分たちが何を残していくか、何を見せていくかが大事だなと考えていました。

——特に長野というチームは地域とのつながりが深いですから。

長野の強みでもあるのが入場者数。なでしこリーグでは2部でしたが、それでも1部の浦和さん(三菱重工浦和レッズレディース)、INACさん(INAC神戸レオネッサ)に続く3番手。今までの自分たちが作り上げてきた地域愛があるし、応援が力になっていたからこそ、そこはここからも崩したくない。だから勝利という結果が出ていないと入場者数の増減がすごく気になります。これもプロの世界の厳しさですね。

——それでも前期日程も終盤になるにつれて流れを掴み、パスがつながるようになったと感じられる部分も出てきたように見えます。

攻撃を仕掛けるために前線からプレスしてボールを奪う、という自分たちの良さが出せれば良いリズムに乗っていけますが、それができない場合に自分たちのミスからボールを失い、相手チームに試合の主導権を渡してしまう部分が課題です。それでも最終的な攻撃の厚みや工夫は、今までよりも増えてきているのは確かですね。

——攻撃に転じて引っ張っていく役割を担っている三谷選手が見せたいプレーとは?

奪ったあと、一本のパスでゴールにつながるチャンスを作りたいなとすごく思っています。守備から攻撃に切り替わって、自分の一本のパスで味方がシュートにいけるアシストの数を増やしたいです。自分のところにボールが入ってくればチャンスが生まれる選手になりたいです。

——みなさんにお伺いしているのですが、今後WEリーグをどんなリーグにしていきたいですか?

小さな女の子たちだけの憧れではなく、世界中の女性に憧れを持ってもらえるようになりたい。普通に会社で働いている人たち、サッカーに興味ない方々からも目を留めてもらえるような存在になりたいです。

——では最後に、ファン・サポーターへメッセージをお願いします。

自分が大事にしているのは“笑顔”。自分のプレーや表情、いろんな面から「三谷選手も頑張っているから自分も頑張ろう!」と思ってもらえる選手になりたいです。私が笑顔でいることによって皆さんにも笑顔の輪が広がればいいなと思っています。皆さんに感動や元気の源をお届けできるように、これからも自分らしく一所懸命プレーしようと思いますので、応援よろしくお願いします!

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

三谷沙也加(みたに さやか)

1995年5月13日生まれ、岡山県出身

MF、背番号11

作陽高校浦和レッドダイヤモンズレディース → AC長野パルセイロ・レディース

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