湘南ベルマーレジュニア、東京ヴェルディジュニア、日テレ・メニーナ、浦和レッズレディース、ベガルタ仙台レディース、BVクロッペンブルク(ドイツ)、そしてジェフユナイテッド市原・千葉レディース——岸川奈津希は幼少期から名だたるチームカラーに触れてきた。中でも最も彼女を大きく変えたのはドイツへの移籍。試行錯誤を繰り返した日本サッカーとの完全な融合形を今シーズンの岸川の右足が魅せてくれるかもしれない。
——最初に岸川選手を見た10代のときはすでにボランチでプレーしていました。ずっと中央のポジションですか?
中学生まではフォワードやサイドハーフだったのですが、中学2年生のときにボランチでプレーすることになりました。全方向からプレッシャーが来て大変だと思いましたが、攻守にずっと関わることができて楽しかった。相手に囲まれても、そこからチャンスにつながるパスを出せるポジションだということに、今でも魅力を感じています。
——様々なチームを経験して、2018年にドイツのBVクロッペンブルクに移籍します。もともと海外志向があったのでしょうか?
U-17やU-20のワールドカップで経験した海外の選手との対決がすごく楽しかった。そのときは海外移籍を身近に感じていませんでしたが、当時チームメイトだった安藤梢選手や熊谷紗季選手がドイツに渡って行くのを見て、女子選手でも海外移籍できるんだ、私も挑戦してみたい、と思いました。
——ターニングポイントになりましたか?
なりましたね。私はもともと試合中に声を出すタイプで、言い方が強くなっちゃうことがあったのですが、海外でプレーしてそんな自分を客観的に見ることができました。海外の選手は結構ムキになるので、試合中でも一つのミスに対して重ねて言ってくるんですよ(笑)。そのとき、「あ~自分も結構ミスに対して言ってたな」って気づいた。そういう風に言われるとプレーしにくいですよね。そこから私も言い方を考えるようになりました。
——海外移籍したことで、ここを鍛えよう!と感じたところは?
ドイツだと外国人である日本人選手は“助っ人”として見られるので、「奈津希が点を取ってくれよ」という雰囲気になります。セットプレーでも「奈津希に合わせるから」みたいな。得点に関して「自分が決めなきゃ勝てない」と思わせてくれました。だからシュート練習もしましたし、シュートへの意識をもっと高くしようと思いました。
——岸川さんの持ち味であるロングフィードはトレーニングの賜物ですか?
こう見えて小学生のときはドリブルが得意でした(笑)。5年生くらいのときにヴェルディジュニア以外にもサッカースクールに通っていて、そこでキックを徹底的に教えてもらいました。「今は身体が小さいから飛ばないけど、大きくなったら飛ぶようになるから。今は基本が大事だよ」と言われていたのですが、中学2年生くらいから身長が伸び始めて、本当に飛距離が出るようになって、そこからキックは自分の武器だと思えるようになりました。
——ジェフは猿澤真治監督2年目になります。猿澤監督のサッカーもかなり浸透してきたのでは?
守備のところを求められることが多くて、プレシーズンマッチではそれを出せていると思います。
——必ず最後は足が出てきて、粘りの守備が見られました。
そこがジェフの良さ。しっかりした戦術で最後まで走り切ることはスタンダードにして、攻撃面をさらにレベルアップしていかないといけないと感じています。
——今年の私は〇〇が違う!というのはありますか?
今年の私は貪欲にミドルシュートを狙っていきます!今年は得意なキックを生かさなければ、という覚悟を持っています。
——WEリーグで一番〇〇な選手になるというのは何かあてはまりそうですか?
WEリーグで一番貧血対策します(笑)!貧血持ちなので、貧血に何が良いか栄養士さんからアドバイスをもらっています。自粛期間中に料理の腕が上がったので、お味噌汁に野菜をふんだんに使ったり、肉だけでなく魚も交互に摂取したり、食生活も考えるようになりました。
——最後にファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
WEリーグは相手との駆け引きでプレーする選手が多いのも魅力の一つだと思います。選手全員でWEリーグの魅力を伝えられるように一生懸命プレーして、たくさんの方に女子サッカーを見てもらって、私自身もジェフレディースの一員としてがんばっていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします。
【プロフィール】
岸川奈津希(きしかわ なつき)
1991年4月26日生まれ、神奈川県出身
MF、背番号8
湘南ベルマーレジュニア → 東京ヴェルディジュニア → 日テレ・メニーナ → 浦和レッズレディースユース → 浦和レッズレディース → ベガルタ仙台レディース → BVクロッペンブルク(ドイツ) → ジェフユナイテッド市原・千葉レディース