高校女子サッカーの名門・常盤木学園では全日本高校女子選手権2連覇、当時のなでしこリーグ2部では得点王、世代別代表でも活躍——と眩い経歴を持つ道上彩花。恵まれた体躯から放たれるシュートは強烈だ。しかし幾度となく大けがに見舞われ、そのたびに原点に立ち返り、リスタートを繰り返した。アルビレックス新潟レディースでの一歩を踏み出した道上。新天地でもブレることなく大らかに懸命に前を向いていた。
——小学2年生から始めたサッカー。中学、高校と進学していくにつれ女子サッカーは選択肢が狭くなっていきますよね。道上さんは順調に歩んだイメージがあるのですがステップのビジョンは描けていたのでしょうか？
全然（笑）！中学のときは運良く男子の部活に参加させてもらえてたんです。小学校のときからずっと一緒にプレーしてきた子たちばっかりだったので、普通に馴染んでました。同時に女子チームにも入っていたので、2つのチームでサッカーが出来てすごく充実した日々でした。全国大会に行ったメンバーで常盤木学園に進学した先輩がいたので、体験入学に行ってみて、「ここに行きたい！」と思い決めました。“思い描いて”ではなく完全に成り行きです（笑）
——当時の常盤木学園には現在もトップレベルで活躍している選手が多く在籍していました。成長を実感できたのはやはり高校時代ですか？
間違いなくあの高校3年間ですね。常盤木に行っていなかったら、今の自分は絶対にないと思います。もちろんサッカーも教わりましたが、人としての考え方や、選手としての在り方、人間性を一番学びました。
——今でも一番肝に銘じていることはありますか？
「本分を全うしろ」という言葉は今でも心に響いています。気持ちがブレそうなときにはその言葉を思い出して、自分は今やるべきことをやれているかと見つめ直すことが出来るんです。私は天才肌じゃないので、いつも人に助けられて、そこに自分のちょっとした頑張りが加わってここまで来た感じ。だから自分を見失うことはあまりないんですけど、上手くいかないことはすごく多い（笑）。結構くよくよしますし・・・。でも自分がコントロールできないことに力を注いでも仕方ない。だったら今やるべきことにしっかり目を向けてやった方が成長するんじゃないかという考えを持てるようになりました。
——道上さんはとにかくケガに泣かされました。
5回手術したんだよね～って結構明るく話せます（笑）。その経験があって今があると思っているので、大きな価値観は変わらず、モノの捉え方を変えて客観視できるようになりましたね。
——いろいろ模索していた時期に新潟へ移籍する道を選びました。
新潟はずっと興味を持っていたチームでした。対戦してても守備が固くて（笑）、みんなが必死にがんばって一つのボールを取りに行く姿がハッキリと見えていた。やっぱりトップリーグでプレーしたい思いがありましたし、移籍は縁やタイミングが大事だとつくづく感じました。
——“新潟の道上”はどんなプレーを見せてくれますか？
ゴールに向かう執念や貪欲さは誰にも負けないと思っているので、そこを全面的に出せたら一番いいです。
——みなさんに伺っている質問です。今年の私は〇〇が違う！というのはありますか？
存在感が違います！年齢ではチームで上から3番目なので、引っ張っていく立場にもなりました。FWとしてそれを表すのに大事なのは、ゴールはもちろん、何かやってくれるんじゃないかという存在感だと思うんです。スタジアムにいる人全員が感じるような存在感を出したいです。
——WEリーグの〇〇第一号になる！というのは何があてはまりそうですか？
もうこれしかない。WEリーグ開幕戦第一号ゴール！ゴールは獲れるだけ獲りたいですけど、まずは初戦しっかりと来たチャンスを逃さずに仕留めたいです。
——最後にファン・サポーターのみなさんへメッセージをお願いします。
新加入なので、道上彩花はこういう選手だ、というものを示したいと思っています。また観に行きたいなって思ってもらえるチームをみんなで作っていきたいので、スタジアムで一体となって一緒に戦いましょう！
【プロフィール】
道上彩花（みちがみ あやか)
1994年7月27日生まれ、徳島県出身
FW、背番号34
今津サッカークラブ → FCメルベーユANAN → 鳴門ポラリスレディースFC → 常盤木学園高校 → INAC神戸レオネッサ → 伊賀FCくノ一三重 → アルビレックス新潟レディース
