2025年3月22日、アルビレックス新潟レディースがデンカビッグスワンスタジアムで、「アルビレディース・女子サッカーを応援する人を増やそうプロジェクト!」を行いました。
このプロジェクトは『女子スポーツを応援する人を増やし、多様性あふれる人々が応援・観戦したくなるようなスタジアムづくり』を目指し、昨年末から選手とクラブが一丸となって進めてきたものです。
2024-25 SOMPO WEリーグ後半戦での実施を目標に掲げ、今年1月には、全選手が5つのグループに分かれて、ホームゲームでの施策を考えるワークショップをALL WE ACTION DAYの活動として開催。ここで出てきたさまざまなアイデアをもとに、リーグ戦第15節vs大宮アルディージャVENTUSで、選手考案による「アルビレディース・女子サッカーを応援する人を増やそうプロジェクト!」の実現に至りました。
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— アルビレックス新潟レディース (@albirexL) March 15, 2025
みーんな誘ってスタジアムへ🏟️🧡
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強風🌬️の中ですが、5選手からのお知らせです📢
【3/22(土)は10代で良かったキャンペーン✨】
当日友達を誘って試合を観戦しよう‼️
⚠️学生証などお忘れなく👀
スタジアムで最高の思い出作りを💝
勝利時限定TikTokタイムも…🕺🌟#albirexL #albirex https://t.co/BneIMdkgMj pic.twitter.com/qWyzit0Rul
選手たちが考え、実現した施策は全部で7つ。まず、試合に向けて行ったのは『SNS強化期間』と『選手主導のチラシ配布』です。SNSでは選手たちも個々のアカウントなどで積極的にPRに参加し、選手主導のチラシ配布では、新潟駅や新潟Lのパートナー企業である「株式会社ウオロク」中野山店などで多くの人々と触れ合う時間を過ごしました。
特に、パートナー企業である店舗でのチラシ配布は、選手たちがお母さん世代へのアプローチを考えつつ「チラシ配布をSNSなどで事前に告知することで、店舗に新たなお客様が足を運ぶきっかけになるかもしれない。私たちも新潟Lや試合のことを知ってもらえるのでwin-winになったらうれしい」と話していたもの。実際に「多くの人に受け取ってもらえました」と『選手主導のチラシ配布』企画を考え、配布に参加した道上彩花選手は話します。
SNSやチラシ配布などを経て、迎えた試合当日。チケットブースでは、『10代で良かったキャンペーン』を展開しました。これは10代と10代以上の学生も入場可能な団体チケットで、30人まで一律3,000円で観戦できるもの。お得に試合観戦ができるだけではなく全選手が手書きをした“青春バンド”のプレゼントも待っています。「SNSや公式サイトを見てチケットのことを知りました」と利用した学生は、うれしそうに希望選手の青春バンドを受け取ってスタンドに向かっていきました。
入場口では、選手たちが考案・作成した試合がより楽しくなる『はじめてガイド』を配布。オフサイドのルールや女子サッカーの魅力を選手たちが手書きで解説しているほか、「試合前後にたくさんのイベントを実施しているので、スタジアムにもう1度来たくなってしまうくらい最高の1日に一緒にしていきましょう」(藤原凜音選手)など、選手たちからのメッセージも散りばめられる内容になっていました。
実は、試合日はあいにくの強風。ファン・サポーターは「はじめてガイドはうれしい。風に飛ばされないように気をつけて、しっかり読みます」と大事そうに手に取っていく様子も。
飲食店ブースでは「10代の方が喜ぶようなグルメを用意すれば、それを目的に来場を促せるのでは」と選手が提案を行い、新潟生まれ新潟育ちのブランドいちご『越後姫』を使った『SHOKUROいちごジュース』と『SHOKUROけずりいちごと練乳のクレープ』が登場。「選手から提案したメニューです。おいしいですよ」と那須野陽向選手と長崎咲弥選手もグルメブースに駆けつけてPRすると、「選手とのコラボなの? おいしそう」と、早速、キッチンカーへ向かう人の姿もありました。
さまざまなイベントが実施される中で、特に人気を集めていたのは「enjoyパーク supported by ディモルギア」内で行われた『VS選手』企画。毎回異なる企画が登場する予定の『VS選手』は、事前に選手たちがチャレンジしたゲーム結果に挑戦していくもの。今回はプレーヤーズマスコットをジップロック®に詰めていくシンプルな「プレーヤーズマスコット」詰め放題が行われました。チャレンジしたのは園田瑞貴選手。8個を記録した様子が動画で公開されており、この記録にチャレンジャーが挑んでいきます。
園田選手の記録を超えるとWEリーグシルバーパートナーである旭化成ホームプロダクツ株式会社よりご提供いただいた「Ziploc®フリーザーバッグM18枚入」と選手のメッセージ入りカードがプレゼントされるとあって、開始から多くの人が集まります。単純に詰めていくゲームですが、これがなかなか難しいようで「選手の顔がつぶれちゃう」「最後が閉まらない」「あと1個入れたら記録更新!」とブースは大盛りあがり。途中で武田あすみ選手たちが応援に参加すると10個を詰めきるチャレンジャーも現れ、大人も子どもも夢中になって楽しむひとときになっていました。
また、試合をより熱く応援できるように、SNSを使った『1stゴールを決めるのは誰だ!?』企画も実施。予想選手名と選手たちが作成した特設パネルを投稿し、的中すると抽選で後日「thanks動画」がプレゼントされる内容です。
試合前からSNS上には「滝川結女選手」「新堀華波選手」とさまざまな選手名が投稿される中、得点を決めたのは川村優理選手。
「(狙ってではなく)ゴールは偶然です。でも企画を実施している中で、ゴールを取れて良かったですし、投票してくださったのもうれしいです」と川村選手。自分たちの手でつくりあげたホームゲームの雰囲気については「ピッチに出た時に一段とすごい声援だと感じました」と話してくれましたが、1−1の引き分けに終わったこともあり「大きな応援があって苦しい時間帯でも走れたからこそ、勝ちたかったです」(川村選手)と、悔しさもにじませるWE ACTION DAYになっていました。
“多様性”をテーマとしたALL WE ACTION DAYをきっかけに、長期的なプロジェクトに取り組んだ新潟L。その裏側には、クラブの課題と、選手たちの思いが見え隠れします。
「選手たちは常々『新潟の人にもっとレディースのことを知ってもらいたい』『試合にもっと多くの人に来てほしい』という強い気持ちを持っています。ALL WE ACTION DAYの活動を行うにあたっても、選手たちから『自分たちが置かれている環境を改めて確認して、選手として何ができるかをみんなで考えたい』という話が出てきました。そこで、クラブとして課題となっている集客にスポットを当て、より幅広いお客様にホームゲームに来てもらうにはどうしたらいいのか。それをテーマにした長期的な選手考案プロジェクトに、クラブ全体で取り組むことになりました」(クラブスタッフ)
プロジェクトのスタートは昨年末。ファン・サポーターにアンケートを実施し、その声をもとに選手たちが、さまざまな施策を考案しました。選手目線の豊かなアイデアにクラブスタッフも驚いたと言います。
「選手たちはサッカーをプレーすることが本業です。でも集客に関してなども、選手たち自身はたくさんアイデアを持っていて、出てくる一つひとつの案は、とても魅力的でした。その中で実際にできるもの・できないものを調整しながら進めてきましたが、その過程で『全部の企画を1試合でやらなくてもいいのではないか』『もっとターゲットを絞った方がいいのではないか』というクラブスタッフの意見もあったんです。それでも、実施につながったのは、スタジアムで選手を後押ししようという思い。その気持ちも込めて『選手発案の企画を一度やってみよう』とクラブ全体がまとまりました。目指していた入場者数5,000人という目標には及びませんでしたが、はじめて来場された方もいますし、イベントを楽しんでくださった方もたくさんいらっしゃったのはうれしかったです。何より、選手たちは本当に積極的に参加してくれました。WEリーグパートナー各社様の協力もあってノベルティプレゼントや企画も実施できた中で、ご来場いただいたみなさんにより喜んでいただけるようにと、選手たちは手書きのメッセージなどを入れてくれたんです。選手たちの思いも重なって、いつものホームゲームに色をつけられたと思いますし、アルビレディースらしさが出せたと実感しています」(クラブスタッフ)
今回のWE ACTION DAYでは、旭化成ホームプロダクツ株式会社が「Ziploc®フリーザ―バッグ」を。カップタイトルパートナーでありシルバーパートナーであるクラシエ株式会社も【マー&ミー サンプルセット(シャンプー&コンディショナー)】を提供し、入場時に先着配布が実施されていました。お母さんが子どもを連れて来場している姿も多かったため「こういうのがもらえてうれしいね」と声が上がります。
また、試合前のサインボールパスも特別版としてリーグ戦タイトルパートナーのSOMPOグループとWEリーグのコラボタオルに、選手たちがオリジナルメッセージを入れて投げ込むなど、WEリーグのパートナー企業とクラブが手を携えることで、ファン・サポーターの“うれしい”“来て良かった”を生み出すことにもつながりました。
WEリーグに関わる人々の一体感や来場者の思いを引き出し、自らのホームゲームに色を添えていたのは、やはり選手たち自身。コラボタオルや青春バンド、『はじめてガイド』に『1stゴールを決めるのは誰だ!?』の特設パネルのほか、『vs選手』の景品、シーズンパス抽選で当選者に送られる旭化成ホームプロダクツ株式会社のギフトセットに至るまで、選手たちは思いを込めて、“この試合だけ”の、たくさんの手書きメッセージを残していました。
さらに、考案企画の当選者発表を白沢百合恵選手が行ったほか、選手たちは時間の許す限りイベント会場などに顔を出し、ファンサービスも実施。その思いは言葉や行動に乗り、多くの来場者に届けられていきました。それこそ唯一無二の“アルビレディース”らしさ。それが、温かなスタジアムの雰囲気をつくりあげる原動力になっていきます。
「女子サッカーの良さはファン・サポーターのみなさんとの距離感。距離が近くて、みなさんと触れ合える。そういういい雰囲気のスタジアムをつくっていきたい」と川村選手。
今回のプロジェクトの発案者のひとりとなった道上選手も「いいスタジアムの雰囲気つくりを大切にしたい」と教えてくれました。
「スタジアムに来られた方に楽しんでほしい、笑顔で帰ってほしいというのは、選手たちの願いです。ピッチで結果を残して喜んでもらう。そこにプラスしてイベントなどもあると思うので、今日は結果に関しても、目標に掲げた集客数についても悔しさが残ります。もっとできたこともあるんじゃないかという気持ちもありますが、選手たちの“こうしたい”という思いが乗ったアイデアが実現しました。女子サッカーの試合でビッグスワンを満員にすることは、大きな目標。夢で終わらせるわけにはいきません。新潟は熱い人たちが多く、リーグでも随一。みなさんのパワーを力に変えてピッチでしっかり結果を残すことも自分たちがすべきことです。これからも応援してもらえるクラブ・選手であるように努力しながら、いいスタジアムの雰囲気をつくっていけるように、もっともっとみんなで取り組んでいきたいと思います」(道上選手)
「アルビレディース・女子サッカーを応援する人を増やそうプロジェクト!」開催日は、家族連れや高齢の方。サッカー少年&少女など、多様で幅広い人々がデンカビッグスワンスタジアムに集い、たくさんの笑顔があふれた日でもありました。だからこそ、選手たちとともに新たなホームゲームをつくりあげてきたクラブスタッフは、決意を込めます。
「集客数に関して、正直な思いとしては『すごく悔しい』です。選手たちもそう口にしていましたし、クラブスタッフとしても同じ思いが浮かびます。選手たちは事前の準備から一生懸命やってくれましたし、SNS発信も積極的に取り組んでくれました。課題感は残りますが、これで終わりではありません。『VS選手』企画は今後も楽しみなイベントになりますし、『はじめてガイド』もこれまで女子サッカーを見たことがない人たちへのアプローチや切り口になると思います。一度、試合に来てもらえたら、きっとアルビレディースを好きになってくれる。“次”につながっていく。WEリーグでもJリーグでも、思い出に残るスタジアムでの1日をつくっていくことはできると感じるからこそ、満員のビッグスワンで選手たちを後押しできるように、スタッフもがんばっていきたいと思います」(クラブスタッフ)
ファン・サポーターの笑顔のために。選手たちの笑顔のために。デンカビッグスワンスタジアムで過ごす1日が、すべての人にとってかけがえのない時間となるように、新潟Lはクラブ一丸となっていい雰囲気のスタジアムづくりを、これからも進めていきます。