2025年3月8日、ジェフ千葉レディースがフクダ電子アリーナで「蘇我小プレゼンツ ホームゲーム丸ごとプロデュース」を行いました。
「蘇我小プレゼンツ ホームゲーム丸ごとプロデュース」は、千葉Lのホームタウンにあり、フクダ電子アリーナも徒歩圏内にある千葉市立蘇我小学校の6年生96人が12グループに別れて、試合に向けてのPR活動やイベント企画のほか、当日のスタジアムで販売するオリジナルグッズ、飲食メニューの考案などをプロデュースするものです。
「アントレプレナーシップ教育」に取り組んでいる蘇我小学校の依頼を受けて千葉Lが協力。「児童・選手・地域とともに、ホームゲームをプロデュースすることでジェフユナイテッドライフを実現する」ことを目的のひとつとして、2024-25 SOMPO WEリーグ第13節セレッソ大阪ヤンマーレディース戦で実現しました。
準備期間は半年以上。「当初、子どもたちから『やりたい』と出てきたのは突飛な発想ばかり」だったと蘇我小学校の青木真也先生。それでも「粘り強く最後まで取り組むことを大事にし、提案をして修正をすることを何度も行ってきました」(青木先生)と言います。
クラブや飲食店への提案も子どもたちが自ら行ったそう。「スライドショーを使ってやりたいことをしっかり伝えたプレゼンテーションは面白かったです」と高木俐玖くんが話してくれたように、実施したい内容をプレゼンテーション。プロサッカーの興行として「できること・できないこと」を知り、考え、試行錯誤を繰り返しながら、学内発表や打ち合わせを経て当日を迎えていました。
蘇我小学校の子どもたちが考え、実施したのは12の施策です。
①A4サイズクリアファイル製作
②オリジナル応援フラッグ製作
③飲食メニューの考案(そがっぱうどん、好きなメニューをつめたなかむら弁当、幸せの黄色い杏仁豆腐)
④当該試合の告知ちらし製作
⑤当該試合の告知ポスター製作
⑥3~4月のJ2リーグポスター製作
⑦蘇我小児童が制作した当該試合の告知ポスターのJR蘇我駅構内への掲出
⑧蘇我小児童による駅構内放送(当該試合告知放送 ※事前録音)
⑨千葉L選手への応援メッセージ(寄せ書き)
⑩当日のイベント実施(クイズラリー、クイズ大会、キックボーリング)
⑪スタメン発表時の選手紹介文作成
⑫応援チャント作成
試合当日は88名が参加し、黄色いウエア姿で各ブースに立つ子どもたち。来場するファン・サポーターに「僕たちが考えました!」とオリジナルグッズを紹介したり、クイズのヒントを教えたりと、コンコースには明るい声が響きます。飲食店ではお弁当も大盛況。列ができる中で、シール貼りや品出しのお手伝いも一生懸命に進めていく姿もありました。
オリジナルフラッグの宣伝を担当した高木くんは、「ジェフとコラボしていることを伝えて、たくさん買ってもらえました。『少し高いなあ』と買ってもらえなかったのは残念でしたが『コラボなら買おうかな』と手に取ってもらえたのはうれしかったです」と振り返ります。
スタンプラリーの受付や景品の受け渡しを行ったのは汪悠さん。
「(スタンプラリーの)質問内容や設置場所を千葉Lの皆さんと相談したり考えたりしたのですが、お客様を集めるのはすごく大変だと思いました。でも、やってくれた人がみんな笑顔だったのがうれしかったですし、これまで知らない人と話したり、地域の人と話したりする機会がなかったので、交流ができたこともいい経験になりました」と感想を聞かせてくれました。
賑わいが広がったコンコース以外にも、蘇我小学校の施策は散りばめられていました。その一つが、子どもたち考案の選手紹介。千葉Lの選手たちも、今回の取り組みに協働しており、制作したポスター配布を子どもたちとともに行ったほか、選手紹介コメント作成のため、蘇我小学校で子どもたちとディスカッションを実施していました。
参加したのは、小川由姫選手、加藤千佳選手、北村美羽選手です。
「事前に選手のことを調べてくれたり、プレーも見てくれたりして『こういうのはどうですか』と聞いてくれました。年齡が近い選手には親近感もわいたようで『高校生なのにすごい!』と話してくれたり、『この選手の特長はこうだよ』と伝えたり。みんなとても明るくて楽しい時間になりました」と小川選手。
自身のことは「関西出身なので関西弁で。熱いプレーヤーだから、それを伝えてほしい」とリクエストをしたそう。その思いを受けて子どもたちが作成したコメントは……「得意のドリブルで相手を抜き去る、ほんまにめっちゃ熱いで」でした。
「若きチームの心臓」と紹介された北村選手。
「話し合いをする時には紹介文はほとんどできあがっている状態で、そこにアドバイスを伝えるくらいだったんです。アップをしているときに選手紹介を聞いていたのですが、みんなで『めっちゃいいね』と話していましたし、自分たちのモチベーションにもつながりました」と言います。
選手たちにも好評だった紹介文を作成したグループの増田七望さんは「選手一人ひとりの特長を、それぞれ違うようにつくるのが難しかったです。でも、みなさんが真剣に聞いてくれていました。すごくがんばって取り組んだのでスタジアムに紹介文が流れてうれしかったです」と話します。
選手たちや試合を盛り上げるために「室内練習場への応援メッセージの掲示」や「応援チャント作成」も行っていた子どもたち。懸命に手拍子などを行う姿に、スタンドではファン・サポーターからも大きな拍手が送られ、より一体感が生まれる試合前になっていました。
実施を終えて、子どもたちを見守った青木先生は、「子どもたちの顔の輝きが普段とはまったく違いました。子どもたちの真剣さが増す中で『自分たちがやらなきゃ』という思いにあふれた1日だったと思います。千葉Lさんと話しながら進めてきて、だんだん形が決まって行く中で、子どもたちが当初考えていた形から違う方向になった部分もありました。でも、自分たちで始めたこと。主体性がどんどん出てきており、新たな自分の発見につながったり、成功体験の一つになったりした時間だったと思います」と振り返ってくれました。
千葉Lもまた、蘇我小学校と連携することで、改めて見えたものもあります。
「選手たちが子どもたちと一緒にポスター配布を行いましたが、その際に、掲示をお願いするお店のみなさんに子どもたちがお願いのお手紙を読みました。その言葉を、お店のみなさんが『うん、うん』と一生懸命聞いてくださって。蘇我小学校を通して、地域とジェフの新たなコミュニケーションがつくれた形にもなったと思います」とクラブスタッフ。
地域とクラブを結ぶ、大きな架け橋としても活躍した子どもたち。今回の取り組みを通して青木先生は「地域に対する思いも育った」と教えてくれました。
「蘇我と言えば、やっぱり“ジェフ”なんです。学校のすぐそばにプロスポーツクラブがあることはなかなかありません。目の前に存在しているからこそ、何度も打ち合わせして提案をすることができます。それを繰り返していくことで、子どもたちも自分事になる。主体的に真剣に取り組んでいましたし、何より、地元にあるものを誇りに思う気持ちや大事にしたいという気持ちが育ったと思います。“ジェフ”を知らない子どもたちへの種まきの機会にもなりました。ジェフさんはすぐそばにいるチームの一員。これからも一緒に蘇我を盛り上げて、蘇我の良さを伝えていきたいです」(青木先生)
子どもたちもまた、「ジェフは蘇我の象徴」「蘇我の誇り」「蘇我はどんなところですか?と聞かれたときに最初に出てくる答えがジェフです」と話します。
地域にプロサッカークラブがあることは、これからを支えていく子どもたちにとって大きなこと。そしてプロサッカークラブにとって、地域の支えやつながりも大事なことです。
「蘇我小学校に行くとジェフのウエアを着ている子どもがたくさんいるんです。自分たちのことを知っている地域の人たちと一緒にいろいろな取り組みを行うことは大切なことです。地域の人たちに応援されて、初めてプロサッカークラブは成り立ちます。そこに加えて、今回は、子どもたちの思いにさまざまなパートナーさんや企業さんが協力をしてくれました。こうした協力がないとできない取り組みでしたし、皆さんが一緒になって蘇我小学校6年生の取り組みを応援してくれたことにも感謝の想いでいっぱいです。やっぱり、そういう方々の支えがあってクラブがある。だからこそ、選手たちも地域のために、という気持ちをすごく強く持っていると思います」(クラブスタッフ)。
「こうして地域の小学生と一緒に盛り上げられるのはいいなと、改めて思いました」と話していた北村選手は「ジェフを広めたいという気持ちは選手の中にも強くありますし、その思いをプレーでもピッチ外の活動でも体現していけたら。子どもたちに応援してもらえる選手になりたいですし、一緒にがんばる存在でありたい。そういう気持ちを少しでも届けられるように、まずはピッチで。勝利を届けられるように戦います」と言葉を続けます。
小川選手も「自分たちのがんばりを見て、なにかほかのことでもがんばろうって思ってもらえるような存在でありたいです」と思いを教えてくれました。
選手、クラブ、地域の小学校に通う子どもたち。今回の「蘇我小プレゼンツ ホームゲーム丸ごとプロデュース」では、地域を思う気持ちがさらに育ち、つながりを強めるWE ACTION DAYになっていました。
最後に、クラブスタッフは言います。
「試合プロデュースはWEリーグだからこそ実現できるものです。やっぱり身近にあることはWEリーグの良さ。『地域の子どもたちがこんなに活躍できる場所があるんだ』『こういう取り組みができる温かいリーグなんだ』と感じてもらえたらと思います」(クラブスタッフ)
これからも地域とともに。千葉L自身も、WEリーグも輝かせながら、クラブが目指す“ジェフユナイテッドライフの輪を広げ、市原・千葉とともに地域の価値を創造する”道を、千葉Lは歩み続けていきます。