展開を一変させる的確なロングキック——リーグ随一とも言える松原有沙が蹴りだす一本でノジマステラ神奈川相模原の攻撃に強烈なアクセントが加わる。それは幼少期に培われた“ゲーム感覚”で生まれたものだ。各世代の“代表”を経験し、そのときどきの発見を吸収してきた松原が変わらずに持ち続けているのが“サッカーを楽しむ”こと。今勝負したいというポジションや、目下奮闘中の課題まですべてを楽しもうとする姿に、彼女らしさが見えた。
——U-16世代からなでしこジャパンまで各世代の代表活動でもっとも衝撃を受けたことは?
やっぱりなでしこジャパンデビューとなったSheBelievesCup(2019年)のアメリカ戦ですかね。まさかデビュー戦が世界ランク1位のアメリカ戦になるとは思っていなかったですから(笑)。最初はガチガチに緊張してたんですけど、自分の中で思い切ったプレーが出来たことは大きかったです。
——日本代表という経験をしたことで今につながっているものはありますか?
なでしこジャパンに招集される前にユニバーシアード代表に選ばれたんですが、そこでの経験が今につながっています。世界を相手にする時、ボランチはヘディングで跳ね返す力や中盤の球際での強さが本当に大事なんだと改めて思ったんです。それがきっかけで今も変わらず意識してプレーできていると思います。
——大きな展開につなげられるキック力が松原さんの持ち味ですが、それはいつ頃から意識していましたか?
小学生の頃からボールを遠くまで蹴れていたので、キックが得意なんだって思うのは早かったと思います。それに気づき始めた高学年くらいの時は、ひたすら一人で壁打ちしてたんですよ。小学校に的が書かれたコンクリートの壁があって、それを狙ったり、壁の高さを超えるのを狙ったり、ゲーム感覚でずっと蹴っていたのがよかったのかもしれません。
——そのキック力が今、大きな特長になっているんですね。いろいろなポジションを意欲的にこなしていますが、ズバリ今松原さんが勝負したいポジションは?
これ悩みますね~どこもやりがいがあるんですよ、本当に。強いていうなら、ボランチでしょうか。DFラインからの組み立ても大事ですけど、一つ前の位置で展開すると相手が崩れる。ボランチだと自分の守備能力も活かせるかなと思います。攻撃のスタートになる時もあれば守備のスイッチにもなるところや、自分主導で周りを動かすことができるのも楽しいです。
——チーム戦術にも厚みが出てきて、新しい選手も入ってきた中でのキャプテン就任です。
覚悟はしてたんですけど(笑)、実際チームがスタートするときに監督から「キャプテンは松原で行く」って言われたときにはいろいろ考えました。世代も若くなって、自分も上から4番目なんです。下の選手たちをいかにまとめられるか、レベルの高い状態を保ったまま練習できるかとか、・・・これまでのキャプテンを歴任した先輩方の偉大さが身に沁みました。
——そんな中でのシーズン。今年の私は〇〇が違う!というのはありますか?
自分の長所であるキックの精度をあげたい!小学校のときにもゲーム感覚で練習してましたが、バー当てってキックの練習にいいと思うんですよ。バーに当てて跳ね返ってきたボールをボレーするとか、チーム内で競争したりとかしています(笑)
——WEリーグ一番の〇〇になる!には何がはまりそうですか?
ヘディングが強い選手になる!でも(菅澤)優衣香(三菱重工浦和レッズレディース)さんがいるか・・・いや、でも優衣香さんに勝たないとチームを勝利へ導けないのでヘディングで一番になること!とさせてください(笑)
——最後にファン・サポーターのみなさんにメッセージをお願いします。
WEリーグという新しい舞台ができることで、またなでしこリーグとは違った一面もたくさんあると思います。より多くの方に興味を持ってスタジアムに足を運んでもらって、一緒に女子サッカーを盛り上げていけたらと思っているので、応援よろしくお願いします!
【プロフィール】
松原有沙(まつばら ありさ)
1995年5月1日生まれ、大阪府出身
MF、背番号6
RFC → 豊中レディースFC → RFC Jr.Youth → 大商学園高校 → 早稲田大学 → ノジマステラ神奈川相模原