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2025.01.29
WE ACTION DAY EL埼玉 
「みんなの色でつなごう笑顔のWA」を実施

エルフェンを通じてサッカーに興味を

2024年12月24日、ちふれASエルフェン埼玉が埼玉県立熊谷特別支援学校で「みんなの色でつなごう笑顔のWA」を実施しました。

今回、EL埼玉が埼玉県立熊谷特別支援学校でWE ACTION DAYを実施したきっかけは、「こ゚縁があって10月のホームゲームに埼玉県立熊谷特別支援学校のみなさんを招待しました。そのときに、とても喜んでくれたのです。ただ、話を聞いてみるとスタジアムに行きたいと思っていても、サッカー観戦をすることが難しい場合や困難があること知りました。それならば私たちが学校に伺って何かできないか。そんなふうに模索していく中で『チームみんなで行こう』ということになりました。これまで、なかなか特別支援学校のみなさんと交流ができなかったのですが、WE ACTION DAYのテーマに“多様性”が置かれたことで背中を押された形になりました」とクラブスタッフは教えてくれました。

特別支援学校でのWE ACTION DAYの初開催にあたり、EL埼玉が大事にしたことはサッカーに興味を持ってもらうこと。

「体が不自由でスポーツができなかったり、する機会がなかったりして、スポーツから離れてしまう場合があります。それは、私たち女子サッカーと似ているのかなと。女子サッカーの世界ではサッカーができる環境があっても、それを知らないためにやらない、できない。興味がないと思ってしまう。なので、まずはエルフェンを通じてサッカーに興味を持ってもらうというところからスタートしました」とクラブスタッフは言います。

そして、その思いとともに「障がいに関係なく同じ時間を過ごすことで、ありのままの自分で思いきり楽しむ素晴らしさを伝えていきたい」というテーマを選手たちと共有。その心を受け取った選手たちが、これまでのWE ACTION DAY や、ちふれASエルフェン埼玉がクラブ独自で実施している「子供たちの未来に夢や希望!」テーマとした継続的な交流活動「TSUDOIプロジェクト」と同様に、プログラム内容を決めていく形となりました。


今回、リーダーとなったのは大沼歩加選手、松久保明梨選手、園田悠奈選手の3名。 「これまでは在籍歴が長い浅野菜摘選手や岸みのり選手がリーダーをやっていました。その姿を見ている中で、若手もやっていかないといけないな。自分にもできることはないかと思っていたところで(リーダーの話が)『来たか』と」と、大沼選手が心境を教えてくれました。

3選手のリーダーに加え、5つのグループから代表者1名を決め、8選手が中心になって準備がスタート。大学時代に教員免許を取得していた大沼選手は「特別支援学校で手伝いをした経験」があったと言います。実際の交流を想定してのイメージは浮かぶものの「実際には、難しいこともきっとある。だからこそ、クラブスタッフと特別支援学校の先生たちがコミュニケーションを取ってくださる中で、選手間でも何度も相談をして準備を進めました。自分たちが楽しめても、生徒さんたちが楽しめていなかったら意味がありません。どのくらいできるのかをきちんと考えながら、障がいがあってもできるものはなんだろう。アイスブレイクとして行うものはどういうものがあるのかを調べながら、内容を決めていきました」と大沼選手。

約1時間半の交流となるため、時間配分もしっかりと計算しながら、選手たちが組んだプログラムは、①選手たちによるエルフェンショー、②アイスブレイク「一筆書きゲーム」、③ボッチャ大会の3つ。当日も生徒たちが来るギリギリまで選手たちは念入りに確認をして、全員で準備を進めていく姿がありました。そして、いよいよ交流会が始まります。

選手と生徒がひとつになって盛り上がった交流会




EL埼玉を迎える生徒たちはみな「TSUDOIプロジェクト」のパーカー姿。車椅子などには手書きの応援フラッグが飾ってあります。先生たちもユニフォーム姿で選手たちの登場を待っていました。選手たちが現れると大きな拍手が巻き起こり、温かな歓迎ムードで「みんなの色でつなごう笑顔のWA」が進んでいきます。

選手たちが自己紹介を終えると、早速各ポジションに分かれてプレーのパフォーマンスをする「エルフェンショー」へ。GKのハイキャッチやテクニック抜群のリフティングなど、選手たちのプレーに「かっこいい!」「がんばって」と生徒たちが大歓声を送ります。「エルフェンショー」のラストは、希望生徒と選手のパス交換。1本1本のパスに「ナイスパス」「上手だよ」と、見守る全員からたくさんの声が上がりました。




益々盛り上がっていく中、アイスブレイクに突入します。選手たちが用意したアイスブレイクは、リレー方式で絵を書いて行き、お題を当てる「一筆書きゲーム」。生徒と選手がひとつの輪になって絵をつないでいきます。上手な絵には「すごい!もう書く必要がない」「これはわかりやすい」など大きな声が飛び交い、グループごとに大盛り上がり。言葉を交わすだけではなく、選手たちはスケッチブックを手渡すのをフォローしたり、絵を描くのを支えたりと自然に生徒たちに溶け込んでいきました。

次に待っていたのは最後のプログラム、ボッチャ大会です。「最後にボッチャを取り入れましたが、やったことがない選手ばかりだったので体験するためにボッチャのセットを買ってもらいました。みんなで自主練をして臨みました。とても楽しくて、想像以上にハマっていたと思います」と大沼選手が教えてくれたように、選手たちは本気モード。


生徒の中には埼玉県で2位になった実力者もいるため「この場合はどうしたらいいの?」「投げる順番は?」と作戦会議も熱が入り、どんどん生徒に投げかけていきます。

その熱に応えるように生徒たちもボッチャのルールや投げ方のコツを伝授。「ボッチャ大会では、簡単なルールや補助具の使い方を伝えました。試合の合間では公式ルールなどの話もしたのですが、選手のみなさんは明るくて優しい。友だちのような感じで接することができて、とても楽しかったです」と森口竜彦くん。

高橋優人くんも「ゴールに近づきやすい投げ方などを伝えました。コミュニケーションが少し苦手な僕でも、とても馴染みやすかったですし、みなさんフレンドリーで、とても話しやすかったです」と笑顔で教えてくれました。

「おお!ナイス」「うわ〜ごめん」と、たくさんの明るい声があちこちに響いたボッチャ大会。一投ごとに大歓声が体育館を包みます。さらに白熱していきますが、あっという間に終了時刻。「もうちょっとやりたい」「あと1回!」とみんなが残念な様子を見せるほど、盛り上がった時間になりました。




最後のプログラムだったボッチャ大会を終え、閉会式へ。ここでは、開催日がクリスマスイブだったこともありEL埼玉から生徒たちにプレゼントが手渡されました。

うれしそうに手に取る生徒たち。森口くんも高橋くんも「昨日は眠れないほど楽しみにしていました。今日は本当に楽しかったです。10月にはじめてスタジアムでサッカーを見ていいな、すごいなと思いました。今日交流をして、ますます『いいな』という気持ちが高まりましたし、また試合に行きたいです」と声を弾ませます。

そして、交流の最後。会場を後にする選手たちを、生徒たちが見送ります。「ありがとう」「楽しかったよ」と声を欠けながら、一人ひとりと目を合わせ、ハイタッチを交わす選手たち。名残惜しそうな生徒たちの顔に、再び明るい笑顔が戻りました。

「最後のハイタッチはスタッフもみんな驚いたと思います。指示を出したのではなく、選手たちが自然と行ったことだったのですが、それは彼女たちが今日の交流を通して感じたことの表れなのかなと。素敵な感覚をみんなが持っているのだと、改めて感じました」(クラブスタッフ)

心の交流を、これからも


選手たちとの温かな時間は生徒の心に響く、素敵なクリスマスプレゼント。同時に選手とってもかけがえのない時間となっていたようです。

「反省する部分もありますが、生徒さんたちが笑顔で、とても盛り上がって楽しんでくれていました。たくさん準備をしてきましたし、楽しんでもらえて本当にうれしかったです。スポーツは、見て楽しめることもあると思います。この交流をきっかけにスポーツの楽しさを知ってもらえたり、見る楽しさを伝えられたりしたらいいなと。楽しいことが人生や生活の中で増えていってくれたらすごくうれしいですし、試合観戦や交流を、また一緒にしたいです」と大沼選手。

そして、言葉を続けます。
「多様性という言葉は一般的になってきました。多様性には、障がいの有無やジェンダーの話など、様々な面があります。でも今日、みんなと触れ合う中で、同じことをすれば一緒に楽しめる。お互いに楽しいと思うことができるので、これからもチームとしてこういう機会を増やしていきたいと改めて思いました。多様性という部分にしっかりとアプローチした活動ができたら、個人的にも様々な気づきがありますし、人としての成長につながるなと思っています」(大沼選手)

クラブスタッフも「例えば、選手たち。小さい頃に男の子たちに混ざってサッカーをしていた選手がいます。女の子だからと、手加減をされたり、本気でぶつかってもらえなかったり。そんな経験を持っています。それは見方を変えると、相手に障がいがあるから手加減をする。本気にならないことと似ているのかなと。今回の実施にあたり、様々なことを調べる中で出てきたのは、体の不自由な人のスポーツはないということ。健常者ももちろんできます。例えばボッチャ。今日のように誰もが分け隔てなくできるスポーツです。パラスポーツは参加資格や競技ルールを設けているだけなのですよね。そういうことも学ぶ機会になりましたし、選手たちに、内容を任せていくことで血の通った交流になる。今後もこうした機会を持ちながら、支援学校なども含めた地域交流をやっていきたいです」と話します。


EL埼玉が目指す多様性の形。それが選手たちからも、クラブスタッフからもあふれてきました。他人のことではなく自分のこと。だからこそ、プログラムをつくることも、生徒たちとの触れ合いも、いつも真剣で本気。そこからしか生まれない笑顔を、EL埼玉は生み出すことができるのです。

「TSUDOIプロジェクト」は、WE ACTION DAYだけではもったいないと始めたことなんです。それが形になって、選手たちに託してきました。当日になるまでスタッフはなにをするかわからないですけれど、それを続けていくことも大事なことだと思います」(クラブスタッフ)

WE ACTION DAYから芽生えた思いを、笑顔に変えて。EL埼玉は、これからも変わらずに、選手たちがつくりあげる心の通う活動を続けていきます。



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