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2025.01.24
WE ACTION DAY 千葉L
「障がいとともに歩むサッカー交流会」を実施

2025年1月11日、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースがユナイテッドパークとフクダ電子アリーナで「障がいとともに歩むサッカー交流会」を行いました。

みんなが本気。たくさんの笑顔が生まれた交流会


「障がいとともに歩むサッカー交流会」は「練習場所確保の難しさ。練習相手(試合相手)が見つからないなどの、障がい者チームがかかえる課題の解決の一役を担う」もので、選手たちには「障がいに対する理解を深める機会」となり、参加者にとっては「社会参加やコミュニケーション促進の場であり、自身の存在意義を感じ、自信を持つ機会」となることを目的に、ユナイテッドパークでのサッカー交流とフクダ電子アリーナでの施設見学を行う2部構成で実施されました。

参加するのは、なでしこリーグ時代に千葉Lに所属していた井上由惟子さんが代表を務めるS.C.P.Japanの知的障がいのある女の子・女性のための女子サッカーチームと知的障がいがある人のためのスポーツ活動を展開しているスペシャルオリンピックス日本・千葉のメンバー。小学生から大人まで、さまざまな年代・カテゴリーの男女が集いました。

スペシャルオリンピックス日本・千葉の福原信行さんは「ジェフさんとの取り組みは今回がはじめてでした。声をかけていただいたことをみんなに伝えると、とても喜んでいて。ユナイテッドパークでプロ選手と一緒にサッカーができる。とても楽しみにしてきました」と話します。

その言葉通りにユナイテッドパークに到着した参加者は、みなうれしそうな表情。「芝がきれい」「サッカーを早くやりたい」とワクワクした様子を見せていました。


千葉Lからは林香奈絵選手、蓮輪真琴選手、岸川奈津希選手、オネイル選手、小林ひなた選手、増田咲良選手の6名が参加。明るい雰囲気の中、「Bling-Bang-Bang-Born」をみんなで踊って体を温めたあと、早速、サッカー交流に入りました。

「今日は“私たちのサッカー交流”です。私たちも参加するのではなく、みなさんに来ていただく。楽しんでいただくという目線でメニューを考えました。これまで、サッカースクールなどを経験していたので、コーチ目線になったかなとも思います。今日、参加してくれる人たちは年代も性別もバラバラ。ですが『サッカーを楽しむ』をテーマに、みんなが楽しんでできる内容を6人で考えて、実際にやっていく中で(メニューを)臨機応変に変えていこうと話していました」と林選手が話してくれたように、今回は選手たちがプログラムを決めたそう。


まずは、蓮輪選手が中心となって進めるウォーミングアップです。コミュニケーションも高められる内容で「朝ご飯はパンorご飯?」「旅行に行くなら北海道or沖縄?」といったお題に沿って、同じ回答の仲間を集めていくもの。「ご飯の人!」「あと一人、誰か来て!!」と明るい声がグラウンドに響きます。

「工夫したのは、なるべく説明をしなくてもわかるメニューにしようということでした。複雑なものにしてしまうと楽しめない。説明を端的にして、理解しやすいこと。入りやすいもので進めていこうと決めていたんです」と蓮輪選手はメニューづくりの裏側を教えてくれました。


わかりやすく簡単で、入りやすい。そのため、参加者はあっという間に夢中になってグラウンドを駆け巡ります。楽しい雰囲気の中、最後のお題は「声を出さずに年齢順に並ぶ」こと。身振り手振りで自分の年齡を伝えようと全員が一致団結。きちんと並べたところで、ボールを使ったトレーニングに入ります。

ここからは林選手にバトンタッチ。サッカーの要素が取り入れられたメニューとなり、ボールに触れることから選手がボールを奪いに来るドリブル、シュート練習に入りました。

「選手も優しくて、シュート練習が楽しかったです」と参加した金子大樹さん。サッカー経験は10年以上の持ち主とあって、見事にゴールに収めていきます。参加者とハイタッチをかわしながら「ナイスシュート」「うまいよ!」と声をかけていく選手たち。




金子さん以外にもナイスゴールを次々と決めていく参加者もいたため「もう少しゴールまでの距離を伸ばそうか」「パスやGKを入れてみる?」など、状況を見ながら、選手たちは合間合間で話し合い、内容を変えていきます。

「臨機応変メニューはよくできたかな」と蓮輪選手が振り返ってくれたように、状況に応じてさまざまなメニューにトライできるのは、「なでしこリーグ時代からジェフはサッカー教室などの実施が多いクラブです。毎週のように小学校や幼稚園に行っていたりしていて、そこでみんながいろいろな経験をしてくる」(林選手)からであり「若手選手は(岸川)奈津希さんや(林)香奈絵さんたち、先輩の振る舞いを見ているので声のかけ方などもわかるようになるんです」(蓮輪選手)。


「楽しくやっているだけです」と岸川選手は、はにかみつつも千葉Lが長い時間をかけて培ったものが、グラウンドで受け継がれ、この日も、多くの笑顔を生んでいました。そして、そこは障がいの有無や性別、年齡、サッカー経験なども関係なく、みんなが同じように楽しめる空間。それもまた、千葉Lが生み出すものです。


「例えば、どういうハンデがあるか。それがどれくらいのものなのか。わからない状態でメニューを組もうとなったとき、できる、できない。正解、不正解ではなく、まずはトライすること。誰もが自由にプレーできて、自由な選択ができることを考えました。“やってみよう”ということもテーマのひとつにおきつつも、すぐにできる人。時間が必要な人。さまざまです。いろいろな多様性がある中で、それを受け入れる環境は、自分たちの伝え方や工夫で変わります。そういうところを考えながら取り組みました」と林選手。

自身も参加しながら全体を見守っていた井上さんは「昨年の4月に知的障がいのある女の子・女性のためのサッカーチームを設立しました。ジェフさんとはこれまでイベントなどをしたことがあったのですが、このチームとのコラボはWEリーグ観戦に続いて2度目。障がいがありますが、普段からコミュニケーションを取っていますし、選手たちにはバイアスなしで交流をしてほしいなと思っていました。わからないことなどがあったら、こちらでサポートをする。そういう形で進めさせていただきました。新しい場所が苦手な子もいますが、選手たちが優しく、明るい雰囲気で受け入れてくれたので、みんなが安心して参加できたと思います。最後まで誰も抜けずに楽しそうに参加していた姿を見て、選手の力が素晴らしいと感じました」と言います。




最後に行われた選手対参加者のゲームでは、開始早々から選手は本気モード。ボールを奪いにくる参加者を華麗に交わしたり、見事なパスを出したり。「選手たちは、もう少し(力を)緩めて〜!」と見ていた人から声が飛ぶほど白熱したものになりました。

ボールを2つにしたところから、参加者チームが盛り返し、最後に素晴らしいゴールが決まってサッカー交流が終了。「楽しかった」「もっとやりたかったな」という声もあがり、充実した時間となりました。

ボールひとつでつながれる。それがサッカーの良さ


みんなの笑顔があふれたサッカー交流のあとは、千葉Lがホームゲームで使用するフクダ電子アリーナへ。ピッチやベンチを見学していきます。「すごい、かっこいい」「このベンチふわふわしていて気持ちがいい!」と参加者たち。

選手たちも「ここで控え選手がアップするんだよ」「監督たちが座っているベンチです」と説明していきます。最後に向かったロッカールームでは、即席の写真撮影会とサイン会がサプライズでプレゼントされて、「障がいとともに歩むサッカー交流会」は終了。キラキラとした笑顔でサインを抱きしめながら、参加者はフクアリを後にしていました。




参加者と一緒に交流会に臨んだ福原さんは「選手の盛り上げ方がすごくうまかったので、参加していた子たちも、みんなノッていたと思います。なかなかひとりでは活動できないメンバーなので、こうして支えていただけるのはありがたいこと。選手のみなさんには優勝を目指してがんばってほしいですし、こうした地域貢献を、また一緒にできたらうれしいです」と語ってくれました。

井上さんも「今日の活動を体験して『あんなふうになりたいな』、『もっとこれをがんばろう』という気持ちが芽生えていくと思います。参加した子の中には、私たちが感じている以上に、いろいろなことを諦めたり、自分の限界を周りからの関わりによって感じさせられてしまったりすることがたくさんあります。自分にあまり自信が持てない子もたくさんいる中で、そんなことは関係ない。世界は広いんだよ。こんなにかっこいい女性たちが活躍しているんだということに触れて憧れを持ったり、新しい世界を知ってもらったりするきっかけになればうれしいです。それに、選手時代にはわからなかったのですが、こうしたクラブの地域貢献活動が、チームに対する周囲の思いを生むと思います。女子サッカーの良さのひとつは身近にあること。その中で女子サッカーの魅力を育んでいってもらえたら」と交流会を振り返ります。


選手たちも口々に「楽しかった」と話しながら、「ここまで世代・カテゴリーがバラバラだったのは千葉L史上初だったかもしれません。でもみんなが積極的に取り組んでくれましたし、何よりもサッカーをしたいという気持ちがすごく伝わってきました。それが私たちのモチベーションにもつながりますし、本当に楽しかったです」と林選手。

蓮輪選手も「まずは自分たちが楽しむ中で、参加してくれたみんなも楽しんでくれたと思います。言葉が適切ではないかもしれませんし種類も違うかもしれませんが、ハンデは自分も感じるものです。足が速い人、遅い人。身長が高い人、低い人。サッカーにおいても、そうしたハンデを感じる場面はあります。でもその中で、ひとつの目標に向かってがんばっていく。がんばっていかなきゃいけない。そういう過程は、似ているのかなと思います。みんなが必死にボールを追いかける姿や最後まで粘ってゴール決めようとがんばっている姿。そういうシーンを見て、自分ももっとやらなきゃ、がんばらないと。と思える時間になりました。今日、一緒にプレーをしてくれたみんなに感謝ですし、ボールひとつでつながれる。それはサッカーの良さ。それが千葉Lだったらもっと身近に感じられる。そういう関係性が女子サッカーの魅力でもあると改めて思いました」と話します。

選手たちが自らの手でつくりあげたサッカー交流の場は、明日をがんばるひとつのきっかけ。自分たちも楽しむことで広がっていく楽しさを笑顔につなげて。ボールひとつで女子サッカーの魅力も伝えていく千葉Lの活動は、これからも変わらずに続いていきます。

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