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2024.11.12
WE ACTION DAY S広島R
「サンフレッチェ広島レジーナ×スポーツ医学~女性の健康問題を考える~」を実施

2024年10月22日、サンフレッチェ広島レジーナが広島経済大学フットボールパークで、「サンフレッチェ広島レジーナ×スポーツ医学~女性の健康問題を考える~」を実施しました。

女性特有の健康問題をスポーツ医学の視点で学ぶ

今回、S広島Rが開催した「サンフレッチェ広島レジーナ×スポーツ医学~女性の健康問題を考える~」は、広島テレビ放送株式会社が実施する女性の健康や働き方で課題解決を目指す「わたしらしく生きるプロジェクト」の一環で、2024年9月から2025年3月までS広島Rの選手を対象にした検証プログラム『WeSUP.(ウィサポ)』のひとつとして行われました。

月経など女性特有の健康課題がアスリートに及ぼす影響を検証し、適切な教育やサポートを提供することで心身にどのような変化が現れるかを調べる『WeSUP.(ウィサポ)』は、広島テレビ、S広島R、広島大学、広島県産婦人科医会という「産官医が連携を取り、協力しながら進めているプロジェクトで、『経済産業省 令和6年度 フェムテック等サポートサービス実証事業補助金』を活用して実施しています」と広島テレビのビジネスソリューション局セールスプロモーション部プランニング専門部長の佐々木奈緒さん。

「特有の健康問題は、女性たちにとってはすごく重要なことで、出産などのライフプランとキャリアの両立やバランスを取るのも、とても難しいと思います。そこで、まずはきちんと自分の体について考えることや学ぶことは大事だと考えました。でも、若い世代の関心は少ない傾向です。そこで広島県内においても女性活躍の象徴のひとつでもあり、影響力の高いS広島Rさんに協力をいただいています。選手たちに体と向き合うことの必要性などを実感してもらい、発信してもらえたらという思いがある中で、今回の講座がWE ACTION DAYとして実施いただけることは、とても励みになります」(佐々木さん)

『WeSUP.(ウィサポ)』では、今回の講座のほか、医師の監修のもと、課題解決に適したセルフケア用品の提供や選手たちへのフィードバックも行い、S広島Rや多くの女性たちを支える活動になっています。


その『WeSUP.(ウィサポ)』を今回のWE ACTION DAYで実施した背景には「選手たちには、まずは自分の体を知ること、考えることの大切さを伝えたいという思いがあります」と企画実施に携わったクラブスタッフは話します。

「女性の健康問題。特に月経や女性ホルモンに関することはアスリートにとって重要なものであっても、学ぶ機会や選手同士で話すことも少ないのではないかと思います。月経やPMS(月経前症候群)などの辛さや大変も、心のどこかで当たり前だと思っているのではないのかなと。そうした環境下で、近年では女性特有の健康に関しても様々な情報を目にできるようになってきました。選手たちアスリートは、体を大切にすること、管理することも大切な仕事です。まずは自分の体を知ることが一番の目的ですが、正しい知識を得ること。そして、トップアスリートだからこそ、世の中の女性に対しても体についての考えや思いを発信することで影響を与えられるのではと考えています」(クラブスタッフ)と、経緯を教えてくれました。

体を知ることは自分のためになる


地域とのつながりの中で、トップアスリートとして体と向き合い、大事な知識を得る場となった「サンフレッチェ広島レジーナ×スポーツ医学~女性の健康問題を考える~」。

「ホルモンが女性に及ぼす影響(月経を含む)」「アスリートのパフォーマンスに月経が及ぼす影響」をテーマに、産婦人科医でありスポーツドクターでもある能瀬さやか先生が、選手たちに講義を行いました。


「自分の体を知り、より高いパフォーマンスをできるようにしてほしい」という思いから進められた講義の中では「子宮の病気」「ホルモンの影響」「無月経」「服薬について」など、月経などに関する正しい知識や向き合い方が紹介されていきます。

能瀬先生が診察や相談を受けるようになった約10年の間に、女性の健康問題への対策などは「だいぶ変わってきた」ものの、まだまだ、トップアスリートも正しい知識を持っていないことが多いそうです。

例えば、一生のうちに経験する月経の数。女性たちの生活環境の変化、出産回数の減少などによって、月経の数も現代では増加傾向にあります。それにともなって起きてしまう子宮の病気などが伝えられると、真剣な表情の選手たちの顔にも驚きの様子が浮かびました。


また、「いつからいつまでが月経周期なのか知っていますか?」と、3択問題が問いかけられると、回答を考える選手たちは「実はよくわかっていないかも」「間違っているかな」と不安そうな一面も見せる場面も。

「月経の開始日から次の月経の前日まで」が正しい月経周期。「大事なことなので、忘れないように覚えておきましょう」と能瀬先生も口にします。そのほか、コンディショニングや競技に影響を及ぼす月経困難症についての症状にも触れ、痛みが出たときの服薬の仕方やPMSの症状、低用量ピルの服用などについて、話が進みました。

性別にとらわれず、サッカーを通じて様々なことを発信していきたい


「普段、なかなか聞くことのない話を聞くことができ、貴重な体験になりました。自分のことを見つめ直し、考えるきっかけにもなると思います。月経前後での体の変化や影響。自分にはどういう症状が出るのかを、改めて知ることができたのも良かったです。研究結果や実際の数値を見ながら講義を受けられたことで自分のためになると、改めて思いました」と立花葉選手。

同時に、アメリカでのプレー経験を持つ立花選手は「アメリカでは多くの女性アスリートが健康問題に対してもしっかりと対策をしていました。日本はまだまだ少ないのかなという印象もありますが、まずは自分の症状を知って、競技にどういう影響があるのかをもう一度考えたいと思います。どうしたら最高のパフォーマンスに持っていけるか。それも専門家の方に聞いたり、自分でもきちんと調べてみたりしながらプレーにいかしたいです」と教えてくれました。

海外では、約5〜6割のトップアスリートが月経や女性特有の健康問題に関して対策を取っているそう。その一方で、日本では約3割と少ない傾向にありますが、近年では情報も伝わりやすくなり、月経と上手に付き合う方法やフェムテック商品も多く登場してきました。選択肢も増えてきているからこそ、正しい知識を身に付け、対策を行うことで、競技における高いパフォーマンスの維持にもつながっていきます。

「スポーツドクターの資格を持つ産婦人科医の能瀬先生のお話は、とても説得力がありました。トップアスリートである選手たちも真剣に純粋にお話を聞いてくださり、知らないこともたくさん知る講義になったと思います。これが多くの女性や将来を担う子どもたちにも広がっていけばうれしいです」と広島テレビの佐々木さん。

立花選手は、「女性特有の健康問題は恥ずかしいことだと思わないように、周りの大人がサポートするのも大切だと思います。同時に『難しいことじゃないから大丈夫。これを経験しているあなたは立派で素敵な女性だから誇りを持ってほしい』と伝えたいです」と未来のアスリートたちや特有の健康問題に直面する女性たちにメッセージを贈ってくれました。

講座を見守ったクラブスタッフも「創立から4年。S広島RはWEリーグの中でも新しいクラブです。でも広島や日本から発信できることはあります。今日は女性特有の健康問題を考える機会になりましたが、クラブには男性スタッフもたくさん在籍中です。選手たちが輝きながら活躍していく上では、男性の支えもあって、女性の支えもある。だからこそ、“サンフレッチェ広島”という名のもとに、クラブ一帯、地域一帯となって支え合うことを第一に考えるクラブでありたいですし、性別等にとらわれず、サッカーを通じて様々なことを発信できたらと思います」と話します。

特有の健康問題に関する講座を「初めて受けた」という選手も多かった中で、自分の体と向き合い、トップアスリートとして今、できることを学んだS広島RのWE ACTION DAY。

今回の取り組みを経て、選手たちが女性特有の健康問題と向き合い、正しく上手に付き合っていくことはS広島Rのさらなる飛躍と活躍、そして日本の女子サッカーの発展につながっていきます。その大きな一歩を広島から。S広島Rの取り組みは、これからも続いていきます。

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