※データ提供元:Wyscout(Hudl社)
リーグ戦全体を通して、サイドからのクロス数や精度は、他国と比較しても高い傾向にあった。そういったことから、サイドを起点とした攻撃(アタッキングサードでの崩し)、高い精度のピンポイントクロスやコンビネーションからのクロスは、WEリーグの魅力であると考えられる。
また、他国と比較してパス本数の多さから分かるように、パスをつないでビルドアップし、丁寧に崩していく攻撃スタイルは、日本の特徴であると言える。そういったパスコンビネーションは今後もさらに追求していく必要があるだろう。 よりダイナミックにゴールへ直結したプレーやゴール前でのシュートの精度を上げていくこと、得点を獲れる選手を育成していくことは伸び代だと考えられる。
※データ提供元:Wyscout(Hudl社)
リーグ前半戦同様、PPDA*の数値からは年々ハイプレッシング傾向にあることが分かる。カウンタープレスや前線からのけん制などのディフェンシブアクションが多かったが、2023-24シーズンは、“守るだけの守備”だけでなく、“ゴールを奪うための守備”が多く見られた。
それだけでなく、高い強度を求めた中でもファウルや警告数は少なく、フェアなプレーは日本の良さであり特徴と言える。リーグ戦の優勝とともに、22試合を通して警告3枚でフェアプレー賞を獲得した三菱重工浦和レッズレディースはその象徴と言えるだろう。
*PPDA:ピッチの相手陣地側60%における相手のパス本数を守備のアクションの総数で割った値。相手陣側での守備のアクションが多く、相手のパス本数が少ないほど数値が低くなるため、数値が低いほど高い強度でプレスを行っていると考えられる。相手陣側での守備のアクションが多く、相手のパス本数が少ないほど数値が低くなるため、数値が低いほど高い強度でプレスを行っていると考えられる。ただし、その試合状況や展開、チームの戦術・コンセプトにもよるので一概に低ければ低いほど良いということではない。試合の守備での局面における傾向を見るひとつの指標。
参考:https://dataglossary.wyscout.com/ppda/
※得点降順
※データ提供元:Wyscout(Hudl社)
データからも見て取れるように、年間を通して試合終盤の得点の動きが多く見られ、試合終盤76~90分での得点の動きが多かった。
海外のトップリーグとの相違点としては、順位に関わらずほとんどのチームが、このような傾向が見られたことである。
アディショナルタイムを含む、最後まで互いにゴールへ向かう姿勢から、年間通して最後まで目を離せない試合が多かったと言えるだろう。
3シーズンが終了し、攻守にアグレッシブに仕掛け、ゲームにおけるシチュエーション・局面での激しい攻防が多く見られた。その中で、各チーム、監督の志向するコンセプトによるスタイルなど、特徴も見られたシーズンとなった。攻撃から守備に移る切り替えでのカウンタープレス、そしてハードワークと強度の高いプレッシングは多くのチームに見られた。それらをかい潜るアンチプレッシング、ビルドアップと崩し、特にサイド攻撃からのクロス、ゴールの前の攻防はWEリーグの大きな魅力と言える。
リーグ全体を通して、アディショナルタイムを含む、最後まで互いにゴールへ向かう姿勢から一進一退の攻防により、年間通して最後まで目を離せない試合が多く見られた。
狩野倫久(WEリーグテクニカルアドバイザー)