昨年、なでしこリーグ在籍最後のシーズンを制し、WEリーグ初代女王の座を狙う三菱重工浦和レッズレディース。そのキャプテンを務めるのが柴田華絵である。キャプテンマークをその腕に巻いて5シーズン目。いつも冷静な判断と、あらゆるピンチの場面で見せるカバーリングで仲間から厚い信頼を得ている。飄々と相手を翻弄するそのプレーには彼女の描く理想と工夫が詰まっていた。
——お兄さんの影響でサッカーを始めたんですよね?
男の子のチームでやっていたんですけど、そこに女子チームもあったんで、両方でプレーしていました。珍しい環境だったと思います。中学からは県外の神村学園中等部・高等部(鹿児島)に行っていたので、やめようがなくて、気が付いたら今日まで続いています(笑)
——こういうプレーをしたいという理想はありますか?
タイミング的に相手が当たれない、体を寄せられないプレーを心掛けていますし、そうしたい。まともにぶつかると負けちゃうので、ボランチをやり始めてからは、ぶつからせないボールの持ち方は意識しています。前のポジションだと仕掛けたり自分から突っ込んで行くこともあったんですけど、ボランチをしているといろんなところから相手が来るので、相手の力を利用するのは意識しています。
——相手の力を利用するというのは日本人選手はみんな身に着けたいプレーだと思います。重心が少しでもズレたら飛ばされますよね。
基本的にはぶつかられない距離感(を大事にして)、当たられたときにいなすというか、体をなんていうのかな・・・ヒラッとかわす感じです。プレー中に体に力を入れないことがポイントです。
——その塩梅というのは、いろいろ試しながら探っていったのですか?
はい、やりながらですね。どちらかというと相手が強く来てくれる方がありがたいんです(笑)
——飄々とプレーしているように見えますが、深いですね・・・
“難しいプレーをなんともない感じで簡単にやっちゃう人”とかいいですよね。相手が嫌がるようなプレーをしている人を見ると、「嫌な選手だなって思われてるだろうな」って思ってるんです。
——相手にそれを言わせたら最高の誉め言葉ですよね。こともなげにかつ冷静にプレーしているように見える柴田さんですが、ここ2年ほどプレー中の表情がすごく変わりました。笑っているという訳ではないのにすごく楽しそうに見えます。
楽しいですね。特に昨シーズンはどの試合でも、みんなが連動していることを感じることが出来ました。ボールを持った人が困らないんです。いろんなところにパスコースがあるし、自分で運ぶ選択肢もある。どの試合も楽しかったです。
——守備の力も必要ですよね。
むしろ森さんには、攻撃よりも守備のところを求められていました。切り替えのところとか、前からプレスに行くとか、そのための攻撃の距離感でもあるんです。攻撃の距離感がいいと守備にもすぐに行けて、すぐに奪い返せる。その流れでずっと試合を運べると、自分たちがボールを持っている時間が長いので楽しいですし、体力的にも前と比べて90分バランスよく戦えるようになりました。
——9月からいよいよWEリーグが開幕します。「今年の私は〇〇が違う!」というものはありますか?
今年の私はケガをしません!1シーズン通して戦い抜きます!去年は皇后杯にケガで出場できなくて悔しい想いもしました。練習して、試合に出て・・・サッカーをする楽しさを復帰してより感じるようになりました。
——昨年は自粛期間もありましたし、サッカーを向き合う機会が多かったですか?
そうですね。ただ、自粛期間も仕方のないことですし、切り替えてのんびり本を読んだりして過ごしていました。よく人に借りたりもするんですけど、自分の空間で、一人で出来ることですし、気分転換になりました。
——「WEリーグ一番の〇〇になる!」というものを教えてください。
一番運動量のある選手になります!どこにでも顔を出せるように誰よりも走りたいです。そのためにご飯をいっぱい食べます(笑)!
——大事なことです(笑)では最後にファン・サポーターの方にメッセージをお願いします。
昨年以上に、見ている方が楽しいと思ってもらえるようなサッカーを今年もします!さらに強くなった三菱重工浦和レッズレディースを見せられるように戦いますので応援よろしくお願いします。
【プロフィール】
柴田華絵(しばた はなえ)
1992年7月27日生まれ、福岡県出身
MF、背番号18
中井サッカースポーツ少年団 → 神村学園中等部 → 神村学園高等部 → 浦和レッズレディース