第20節のマッチプレビューとして、ジェフ千葉レディース(千葉L)vs INAC神戸レオネッサ(I神戸)の見どころを2024年5月10日時点でのWyscout(R)のデータを基に紹介します。
千葉Lは4勝7分8敗勝ち点19で8位。I神戸は14勝4分1敗勝ち点46で2位。前回の対戦では2対0でI神戸が勝利しました。(前回の試合結果はこちら)
千葉Lはプレスの強度が高いクラブで、PPDA ※ 8.09はリーグ1位。それに対して、90分平均パス本数は416.58本でリーグ9位と少ない傾向にあります。基本的にボール保持率が高いクラブはパス本数が多くなる傾向にあるのですが、千葉Lはパス本数は少ないながらもプレスの強度が高く、すぐにボールを奪い返すことでボール保持率を高めているクラブです。
千葉Lの90分平均のボール保持率53.1%はリーグ4位、対戦相手であるI神戸は54.9%でリーグ3位です。両クラブとも90分平均のボール保持率が50%を上回っているクラブですが、前回対戦時のボール保持率は千葉Lが38.27%、I神戸が61.73%とI神戸が大きく上回りました。
千葉Lのプレスの強度を支えているのは大熊環選手。インターセプト数110回はリーグ17位でクラブ1位を記録しています。
千葉Lがシュートチャンスを作り出す上で注目したいのは鴨川実歩選手。明確なゴールチャンスを生み出したパスの回数を示す「キーパス」数12本はリーグ8位、ドリブル回数61回はリーグ13位、ドリブル成功率59.02%はリーグ10位です。鴨川選手がボールを受けて、I神戸の守備を攻略する機会が増えるほど、千葉Lのシュートチャンスが増えると予想されます。
I神戸が千葉Lの強度の高いプレスをいかに攻略し、シュートチャンスを作り出すか。注目したいのはパスを出すDFとパスを受ける選手の連携です。
I神戸の三宅史織選手はシーズン通算パス本数1,599本でリーグ1位、土光真代選手は1,180本でリーグ9位を記録しています。
チームを相手ゴールへと近づける前方へのパス「プログレッシブ パス」の本数は三宅選手が229本でリーグ5位、土光選手は224本でリーグ7位を記録しています。土光選手はDF登録ながら相手ディフェンスラインの背後にパスを出す「スルーパス」の本数が24本でリーグ5位を記録しています。
DFからのボールを受ける役割を担うのは田中美南選手。田中選手はパスを受ける回数が90分平均22.86回を記録していますが、引き分けと負けた試合5試合では、パスを受けた回数が90分平均19.15回となっておりパスを受ける回数が減ります。田中選手は7得点挙げるだけではなく、アシストは6回でリーグ3位、キーパスが20本でリーグ3位とシュートチャンスを作り出すプレーも得意としています。
千葉Lの強度の高いプレスをI神戸がいかに攻略し、シュートチャンスを作り出せるか。I神戸の守備に負けず、千葉Lがボールを保持してシュートチャンスを作り出せるか。両チームのプレーに注目です。
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※PPDA:ピッチの相手陣地側60%における相手のパス本数を守備のアクションの総数で割った値。数値が低いとプレス強度が高くなる。ただし、チームの戦術・コンセプトにもよるので一概に低ければ低いほど良いということではない。