2024年4月3日、サンフレッチェ広島レジーナが広島経済大学フットボールパークで「サンフレッチェ広島レジーナ×広島経済大学女子サッカー部~『小中高大、社会人になっても女性がサッカーを続けるために必要な環境』を考える~」を実施しました。
S広島Rが練習拠点としている広島経済大学の女子サッカー部は、高校生から社会人までさまざまなカテゴリーの選手たちが集うチームです。それぞれの視点から、テーマについてトークセッションをしていきます。
6つのグループに分かれた両チームの選手たちは、緊張を解すためのアイスブレイクからスタート。徐々に笑顔が増えていく中、いよいよ本題に入ります。
まずは自身のこれまでの経験の振り返りから。「とても恵まれた環境だった」と話したのは、小学生のころにアメリカのチームに所属していた立花葉選手。「アメリカでは女子チームが多く、困ることは少なかったです」と日本との環境の違いを口にします。
その一方で、多く聞かれたのはサッカーを続けるためにぶつかってしまう壁。「県にひとつしか女子サッカーができるチームがなかった」「男子チームに所属していて2人組での練習は組んでくれるパートナーがいなかった」「クラブチームと男子サッカー部の両立をしていた」など、それぞれが歩んできた道のりは、決して平坦なものではありません。
日本でサッカーを女性が続けるにあたっては、チーム探しや周囲の理解と支援、発育にともなう体の変化など、さまざまな悩みが隣り合わせにあります。それでもサッカーが好きだからこそ、越境するなどの困難を乗り越えてきた選手たち。自身のこれまでの経験を振り返ることで、サッカーを続けるために何が必要か、等身大の考えが出てきます。
「更衣室や送迎バス」「女子サッカーの部活やクラブがまとめられたサイト作り」「総合型スポーツクラブ」「褒めてくれる環境、親や周囲のサポート」「女子サッカーを文化にする」など、選手ならではの視点で多くの声が集まります。
中でも、スキマバイトアプリのように「ケガなどで選手が不足してしまったときに選手を募集する仕組みを作ることで、みんながサッカーを続けられたら」というアイデアには、思わず「おお」と声が上がり、多くの共感が集まっていました。
とても真剣な様子で取り組んだ1時間。セッションを終えた広島経済大学女子サッカー部・岸田月希乃キャプテンは「憧れのプロ選手も同じような悩みを経験していて、身近に感じました。私たちもできることをしていきたい」とS広島Rの選手たちの言葉や姿勢に背中を押された様子。
S広島Rの左山桃子選手は「女子サッカーは環境面でもまだまだ整っていない部分もありますが、WEリーグやS広島Rが先頭になって、さまざまなことを発信できたらいいなと思います。S広島Rにもアンダーカテゴリーが創設され、広島県や日本の女の子たちが目指せる場所ができました。それはサッカーを続ける上でも大きなことですし、うらやましいなと感じます」と話します。
新しいスタジアムであるエディオンピースウイング広島が誕生し、サッカー熱が高まっている今。女子サッカーに触れる機会も増えているからこそ、S広島Rの躍動が広島の女子サッカーを引っ張る光となっていきます。
そのためにも「たくさんの方が足を運んでくれる新スタジアムで勝利をしたい。チームに貢献できるようにプレーしたいと思います」と、想いを込める左山選手。女子サッカー発展のために、必要なこと。今、できることに向き合う貴重な時間を経て、S広島Rは、決意を新たにシーズン終盤の戦いに挑んでいきます。