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2023.10.11
[マッチプレビュー]初タイトルをかけた「絶対に負けられない一戦」。王者に輝くのは、S広島Rか、新潟Lか【2023-24 WEリーグカップ 決勝】


10月14日に等々力陸上競技場で行われるWEリーグカップ決勝戦で、サンフレッチェ広島レジーナとアルビレックス新潟レディースが初タイトルをかけて激突する。

グループAの広島は、第4節で昨季王者の三菱重工浦和レッズレディースとの激闘を制してクラブ初の4連勝を飾り、1試合を残して決勝進出を決めた。グループステージは5試合で10ゴール。7人の選手が得点したように、どこからでもゴールを狙える。

その強さの土台にあるのは、堅実な積み上げだろう。2021年のクラブ創設時から中村伸監督の下、「選手が特徴を引き出し合い、躍動するサッカー」を目指し、1年目は6位、2年目は5位でフィニッシュ。テンポのいいパスワークやスピード感あふれるサイドアタックを武器に、昨季はハイプレスやショートカウンターにも磨きをかけた。3年目を迎えたチームは、成熟期へと向かっている。

攻撃を牽引するのは、左サイドのMF中嶋淑乃だ。緩急自在のドリブルで仕掛ける1対1は高い勝率を誇り、ボールを持つと会場の空気が変わる。また、中嶋とともに、直近のアジア競技大会に出場したMF上野真実も好調だ。同大会では中嶋が2ゴール、上野が5ゴールで金メダルの原動力になった。中盤で攻守を支えるのは、MF小川愛とMF柳瀬楓菜。高精度のキックを持つ小川はプレースキッカーとして、柳瀬はボール奪取でリーグ屈指の質の高さを見せ、グループステージではともにプロ初ゴールも決めた。

また、キャプテンのDF近賀ゆかりが「(新加入選手が)チームを押し上げてくれていると感じます」と言うように、各ポジションに即戦力が加わったことも攻守の質を向上させている。左右両足で強烈なシュートを放つFW高橋美夕紀、俊足のMF松本茉奈加、空中戦やロングフィードに定評のあるDF市瀬千里。グループステージ初戦のマイナビ仙台レディース戦では、3人揃い踏みで移籍後初ゴールを決めた。特別指定選手のDF藤生菜摘もスーパーサブとして存在感を発揮しており、この4人の新戦力もカギを握る。初タイトルに向けては、3年間ピッチ内外でチームを導いてきた近賀とGK福元美穂のリーダーシップにも注目したい。



新潟は第5節でINAC神戸レオネッサを1-0で下し、グループBの3位から逆転して決勝に進出した。WEリーグ1年目は8位、2年目は10位と苦しんだが、今季はJ3のFC今治で指揮を執っていた橋川和晃新監督を迎え、これまでの堅守速攻から“堅守柔攻”へと戦い方を変化させている。「プレーモデルを持って主体的に判断していく選手を育てたい」という指揮官の下、 “高い位置から奪いにいく守備”や“縦方向を意識した攻撃”を軸とし、状況によって変化を加えられる柔軟性は今季のチームの強みだろう。

グループステージ5試合で9得点。得点パターンは多彩で、セットプレーでも4得点を決めている。FW道上彩花が4得点、FW石淵萌実が3得点と結果を残した。最後尾では、今夏の女子ワールドカップメンバーに名を連ねた守護神・平尾知佳がチームに安定感を与える。

中盤にはMF川澄奈穂美とMF杉田亜未という二人の元日本代表アタッカーに加え、対人に強い21歳のハードワーカー・MF石田千尋が新たに加入した。石田は広島の中嶋、上野とともにアジア競技大会で金メダルを獲得。その3人が攻守のプレー強度を高めて司令塔・MF上尾野辺めぐみのゲームメイクを補完し、ゴールへの推進力を生み出している。そして、前線では道上が相手DFと駆け引きしながら虎視眈々とゴールを狙う。

また、今季はホームの観客数が大幅に増加している。アメリカでの海外挑戦を終えて電撃加入した川澄への期待感もあるだろう。上尾野辺との“幼馴染コンビ”が織りなす息ぴったりのコンビネーションにも注目したいが、最終節で道上の決勝弾を呼び込んだクロスのように、勝負どころを見逃さない世界基準のプレーは必見だ。


新潟は過去、皇后杯で4度決勝に進んだが、いずれも敗れている。創設21年目で悲願の初タイトルをかけて、この一戦に臨む。

どちらにとっても初タイトルをかけた「絶対に負けられない一戦」。10月14日、リーグカップを掲げるのは、広島か、それとも新潟か。決戦は、16時にキックオフとなる。

(取材・文=松原渓)

「2023-24 WEリーグカップ 決勝」特設サイト

https://weleague.jp/cupfinal/2023-24/

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