NEWS

インタビュー
2023.05.25
【WE INTERVIEW #64】~伊藤有里彩選手(AC長野パルセイロ・レディース)~


勇気を出して変えたマインドでよりなりたい自分に

「誰もがぶつかる壁」だと、伊藤有里彩は加入当初の若手ならではの怯みを振り返った。少しずつ自分を変えて、先輩への遠慮を消していく作業には確かに勇気が必要だ。それでもそれを乗り越えて見えたものがあるから、彼女は何度も“自信”が大事だと繰り返す。その姿からは貫禄すら感じるが、伊藤はまだ22歳を迎えたばかりだ。推しのアーティストへの熱量はひとしお。なんとも絶妙なバランスが備わっている。ここからの成長が楽しみなゴールキーパーだ。

——サッカーを始めた頃からゴールキーパーに興味を持っていたのですか?

小学4年生でサッカーを始めた時はフィールドプレイヤーでした。ゴールキーパーに興味を持ったきっかけは、所属していたチームにゴールキーパーがいなくて「やってみたら?」と言われてやってみたら案外シュートを止められてそれが楽しかったからです。中学生の頃はフィールドプレイヤーと両立していましたが、高校生になってゴールキーパー一本にしました。

——フィールドプレイヤーの頃はどのポジションでプレーしていたのですか?

フォワードでプレーすることもありましたが、サイドバックなどディフェンダーとしてプレーすることが多かったですね。トレセンにはゴールキーパーとして呼ばれていたので、将来の可能性を考えた時にゴールキーパーの方がチャンスはあると思いました。あとは個人的にシュートを決めることより止めることの楽しさの方が大きかったので、ゴールキーパーでプレーすることを選びました。

——参考にしている選手はいますか?

元アメリカ代表のホープ・ソロ選手です。なでしこジャパンの試合で対戦相手として観ていてすごいと思いました。あのアグレッシブさが好きです。憧れの選手は福元美穂選手と海堀あゆみさんです。私が小学生の頃に、今は私のホームである長野Uスタジアムになでしこジャパンが親善試合で来て興奮しました!

——ご自身の中でのターニングポイントは?

意外と直近かもしれません。今、長野に所属して4年目ですが、加入した頃はまだ経験がなかったというのもあって試合に出られませんでした。良くも悪くも誰もが経験することですが、苦しいことが多かった。その中で試合に出られるようになって、それが自信になって次に繋がったので、ターニングポイントは試合にコンスタントに出られるようになった時でしょうか。

——キャリアを積んでいく中で成長したところは?

最初は若いということで先輩に対して遠慮がありました。きっと先輩はもっとガツガツ来いよと思ってくれていましたが、当時の私には出来ませんでした。練習でも緊張して、ミスしちゃいけない怖さを感じていました。でもコーチや先輩の姿勢を見て、怯んだままじゃダメだと思って、少しずつコーチングの時に選手の名前を呼び捨てにするとか、そういう小さなことから変えていきました。1,2年くらい前から練習をただやるだけじゃなくて、意識したことをやれたかやれなかったかを反省するようになって、自信がつくようになりました。ゴールキーパーの枠は一つなので、試合に出る責任は大きいです。自信がつけばよりなりたい自分になれると思っています。

——パントキックが得意になった理由は?

小学生の頃に蹴ってみたら思った以上に飛びました。空手を習っていたので、それがキックに活きていると思います。

——ご自身の性格を自己分析すると?

元気です!(笑)怒られたりミスした時は、“見返してやる!”という気持ちで立ち向かっていますね。反骨精神でここまで来たと思います。

それでも悩むことがあった時は、元チームメイトで仲が良いサンフレッチェ広島レジーナの瀧澤千聖選手と、伊賀FCくノ一三重の村上日奈子選手に相談します。今はチームが変わりましたが、一緒に頑張ってきた仲間なのは変わりません。

——オフはどう過ごすことが多いですか?

オフは絶対に切り替えます。試合で負けた後は落ち込みますが、私にとってはサッカーを考えない時間も必要だと思っています。川や海に行くアクティブ系も好きですし、遠出するのが疲れたらリラクゼーションへ行くなど、したいことをします。ヘッドスパが大好きなんです!美容院やエステにあるのですが、東京に5分で眠れるすごいヘッドスパがあるので絶対に行きたいです!

これはオンオフ関係ないのですが、アーティストのJO1が大好きなのでよく聴いています。「Speed of Light」は試合前に必ず聴きます。気持ちを上げたい時におススメです!

——今後、どんなWEリーグにしていきたいですか?ビジョンを聞かせてください。

Jリーグや海外の女子リーグは動員数がすごいので、毎回3,000人以上は観客を入れられるようなチーム、リーグにしたいです。WEリーグは2年目になりましたが、注目度はあまり変わっていないように思います。まず知ってもらうために、選手自身が行動することに意味があると思います。サッカーを知らない人や興味がない人に来てもらう行動が必要だと思うので、有名な方の力を借りるなどきっかけ作りが大切だと感じています。

——ここから終盤戦です。どんな戦いを見せてくれますか?

首位の三菱重工浦和レッズレディースや日テレ・東京ヴェルディベレーザなど、上位との対戦があります。局面局面で数的優位を作り、チームとしてボールを奪う戦いができれば、勝てると思います。負ける気はないので、どのチームよりも球際で勝つしかないです。お客様は綺麗なパス回しや上手いシュートが好きだと思いますが、泥臭さやアグレッシブさが人の心を動かすと思いますし、長野はそれが出来るチームです。毎日の練習からみんなで意識してやっていきたいです。

(インタビュー・構成=早草紀子)




【プロフィール】

伊藤有里彩(いとう ゆりあ)

2001年4月2日生まれ、長野県出身

GK、背番号1

F.C.SWAN U-12 → FC.SWAN U-15 → 前橋育英高校 → AC長野パルセイロ・レディース

『WE INTERVIEW』記事一覧はこちら

PARTNERS