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インタビュー
2023.04.27
【WE INTERVIEW #62】~滝川結女選手(アルビレックス新潟レディース)~


153cmの強みは小さいからこそできるドリブル突破

重みと鋭さ。一見相反する特性を持ち合わせたドリブルに、より一層磨きがかかった。ピッチでのほとばしる貪欲さと、ピッチ外で場を一瞬で明るくする陽気さのギャップは、彼女の最大の魅力だ。さらに、サイドでプレーすることによってスタミナがついたと言う。進境の中にありながらも、実りに結びつかない今シーズンのチーム状況を、彼女の一発が打破する日が近いかもしれない。

——滝川選手の強みと言えばドリブルですが、そのスキルはいつ頃磨きましたか?

小学校低学年の頃だと思います。試合で個人技を身につけるためのテーマが設定されていました。例えば「パス禁止」。パスした瞬間に本当に交代させられるんです(笑)。他には、「〇人ドリブルで抜いたらパスOK」だったり、「空中戦だけでパスを繋ぐ」など、一試合一試合にそういうテーマがあって、そこでドリブルを身につけさせてもらいました。

基本的にパスが禁止で一人しかボールを触れないので、チームメイトもボールを奪いに来るんです。今振り返っても大胆なルールだったと思います。小学校低学年の頃はテクニックの習得が早いので、大事なことをさせてもらっていたんだなと感謝しています。

——ここまでのターニングポイントは?

常盤木学園高校でプレーした頃です。初めは別の高校に進学する予定だったのですが、親に勧められて体験に行ったその日に入部を決めていました(笑)。当時の常盤木学園は高校女子サッカーの王者と呼ばれていて、全国から上手い人が集まっていました。3年生には小林里歌子選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)や市瀬奈々選手(マイナビ仙台レディース)がいて、これまでとレベルが全然違うと思ったことを覚えています。今のままではダメだと思い、サッカーにより真剣に向き合うようになりました。

——そこで最も成長したところは?

高校2年生でスターティングメンバーとして出場できるようになった頃に、個人の活躍だけでなく試合のことやチームメイトを活かすこと、周りのことを考えるようになりました。ボランチというポジションでプレーしていたことも影響したのかもしれません。世代別の日本代表で当落線上という環境にも揉まれて、濃い高校3年間でした。

——2021年にWEリーグが開幕し、状況が目まぐるしく変わりました。

WEリーグ1年目はいろいろなことが初めてだったので、プロという実感が湧かないというか、不思議な気分でした。2年目になり、結果がすごく大事だと痛感しています。勝たないと観客数が増えません。チームはなかなか良い結果が出ていませんが、身体をぶつける強さやシュートの精度も上がっています。もちろん歯が立たない試合もありますが、ワクワクする試合が出来るようになっていると思います。

——やはり観客数は気になりますか?

憧れていた場所なので、たくさんの人に観てもらう中でプレーしたいです。なでしこジャパンがワールドカップで優勝した2011年、私は小学5年生でした。当時は、日本の女子サッカーがすごく盛り上がっていて観る人も多かったので、注目度が落ちてきている現状がすごく悔しいです。もっと注目してほしいし、されるべきだと思うので、自分たちが頑張らなければいけないと思っています。

——今季のWEリーグ中盤戦では滝川選手の2試合連続ゴールなどで勢いが出ました。あと一歩のところまで来ている実感があるのでは?

きっかけは自分たちで掴まなければいけないですが、本当にあと一歩だと思っています。試合中は絶対に自分が決めてやる!という気持ちが強くあるし、シュートを打たないとゴールは決まらないので、常に狙っています。

——個人的に成長を感じる部分は?

ここ1、2年でスタミナがつきました。練習後に走るメニューを加えることもありましたが、5バックのフォーメーションでウィングのポジションだと上下運動が激しいので、試合で身についたと言っていいです。

あとは、身体がブレなくなりました。身体のぶつけ合いで倒されなくなってきたのを実感しています。プロになって筋トレに時間を割けるようになり、身体が全体的に引き締まりました。特に上半身を鍛えていたので、ドリブルで相手を抜くときに腕を使えるようになり力強さも出て来ました。

——滝川選手の身長は153cm。自身より身体が大きい選手を相手にしています。

身体の大きさだけで勝負は決まりません。背が低いと、身体をぶつける位置も低くなるので、相手にとってはやりづらいと思います。体幹をしっかり鍛えて、ぶつかっても崩れない強さを身につければ、身体が小さくても勝つことが出来ます!身長が低いからこそできることをより勉強して、小さくてもWEリーグで活躍しているところを見せたいです。

——今後こんなWEリーグにしていきたい、というビジョンはありますか?

WEリーグが開幕すると聞いた時、その舞台でプレーできると思うとすごく嬉しかったです。今は自分が憧れていたものと離れてしまっているので、自分たちのサッカーで結果を見せていかなければいけないと思っています。注目度を上げるという部分では、海外のスター選手に来てもらうのも一つの手だと思います。アルビレックスには男子のチームもあるので、将来的に「今週末はJリーグとWEリーグどっちに行く?」と悩んでもらえるようになりたいです。

——試合ではどんな姿を見せたいですか?

私の闘志を見てほしいです。普段はキャピキャピ系でやらせてもらっていますが(笑)、試合でポニーテールをきつく縛ってヘアバンドをつけるとゴリゴリモードに入ります。私のポジションは観客席に一番近いので、自分の身体を投げ出してでもゴールに向かう泥臭いプレーを見せます!そして試合を決定づけるゴールを決めるために左右どちらのシュートも練習しているので、ぜひ観に来てください!

(インタビュー・構成=早草紀子)




【プロフィール】

滝川結女(たきかわ ゆめ)

1999年8月31日生まれ、三重県出身

MF、背番号17

益代FC → 楠クラブレディース → 常盤木学園高校 → AC長野パルセイロ・レディース → アルビレックス新潟レディース

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