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インタビュー
2022.01.27
【WE INTERVIEW #37】~高橋はな選手(三菱重工浦和レッズレディース)~


いつでも熱い気持ちが伝わるプレーで魅せる

フォワードからセンターバックへのコンバートを経て、今は最終ラインと最前線でそのポテンシャルの高さを見せつける高橋はな。まさに二刀流だ。さらに目を引くのはその貪欲さ。パスサッカーが主流になっている日本において少なくなりつつある泥臭いプレーを体現できる貴重な存在である。「どんなときでもまず気持ちを出す!」と言い切る高橋のプレーで熱くなってみるのも一興だ。

——小学2年生からサッカーを始めた時は、やはり前線のポジションでプレーしていましたか?

最初から前線のポジションではありましたが、結果的にほぼ全てのポジションを経験して、小学生の時は今で言うボランチのポジションでプレーすることが多かったです。

——その頃からフィジカルに自信がありましたか?

いえいえ、本当に私小さくて・・・。浦和レッズレディースのジュニアユースに入ったときも、下から数えた方が早いくらい小さくて、身体も細かったです。でも、高校生になる時に20cmくらい身長が伸びました。両親が良いものを食べさせてくれたからだと思います(笑)

——フォワードからセンターバックにコンバートされた時期は?

本格的に取り組んだのは池田太監督が初めてU-19日本女子代表を率いた年です。その少し前に自分のチームでも経験があって、センターバックの選手がケガをした時に監督に「今日はお前で行くぞ!」と言われてプレーしました。兄がディフェンダーで、自分の中にディフェンダーのイメージがあったので、特にプレーで迷うことはありませんでした。

——前線でのプレーが守備で活きることもありますか?

ありますね。守備をしている時は「フォワードの選手が動き出しそう」と感じることがあります。例えば、相手のボランチの選手がボールを持って前を向いた時に、このタイミングなら裏にボールを蹴れるな、と先に予測して後ろに下がれたり・・・。結構ありますよ。

——コンバート後も展開によってはフォワードとして投入されることが多々ありますよね。その際には逆に守備を経験したから前線での動きにメリットがリターンされることもありますか?

プレーの幅が確実に広がりました。いろんなポジションをやることは大切だと私は思います。後ろから見ていて、「ここ動き出してほしいな」とか、「ここ強く守備に行ったらいいな」と思うことが実践できます。

——ポジションを兼任することがむしろ楽しそうです。

楽しいですね!どのポジションでも同じサッカーだから、学ぶものが多いです。ミスもたくさんします。でもその度に「今のはこうだったな」と思える。いろいろチャレンジしてミスして次に生かそう、というメンタルで毎日プレーしています。

——今の自分の中でのベストポジションは?

毎試合とにかく点を獲りたいと思っているので、フォワードでプレーしたいです!「攻撃と守備どっちがやりたいの?」と結構聞かれますが、どっちも好きなんですよね。でも「いつでもフォワードで行きます!」とはずっと思っていましたし、センターバックでも「点を獲りたい!」と思いながらプレーしています。

——高橋選手にとって、なでしこジャパンはどんな存在ですか?

小さい頃はただなでしこジャパンに入りたいっていう、誰もが持つ“夢”でした。2011年にワールドカップで優勝したなでしこジャパンを見て、そこで女子サッカーの選手って本当にかっこいいなって改めて思ったんですよね。浦和でもなでしこジャパンで活躍する選手がたくさんいましたし、自然にそこで闘いたいと思うようになりました。

——昨年11月のオランダ遠征では、わずかな時間ではありましたが国際試合も経験しました。

常に楽しかったし、若手、ベテラン関係なしにすごくいい選手がたくさんいました。海外の選手には日本じゃなかなか経験できないフィジカル、スピード、強さがありますが、その中でもボールの飛距離が一番印象に残っています。

——高橋選手もボールの飛距離を伸ばしたいですか?

はい!今までも思っていたことですが、改めて感じました。最近はボールをつなぐスタイルが海外でも増えていますが、パス一本でも試合の展開を変えられる。私もこれを武器にできるようにがんばります!

——掲載時にはAFC女子アジアカップが開催されていて、FIFA女子ワールドカップの出場権と、日本としては3連覇がかかった大会を戦っている最中です。どんな戦いをしたいですか?

なでしこジャパンでやろうとしているパスサッカーを見せたいです。自分のところで変化をつけられる配球や、そこから攻撃を始められるボールさばきを見せたい。フィジカルにも力を入れているので、対人でのプレーは一回も負けないようにしたいですね。チームは「アジアの中では日本だよね」、世界でも「日本のサッカーっていいよね」と言ってもらえるような存在にならないといけないと思っています。

——そのためにも、WEリーグを盛り上げなければなりません。どんなWEリーグにしていきたいか、“高橋ビジョン”を教えてください。

WEリーグをたくさんの人に知ってもらう必要がある。私がサッカー選手であることを知ってくださっている人でさえ、WEリーグのことを知らない人もいますから。WEリーグのビジョン“世界一の女子サッカーを”——ここに対して選手が日本サッカーの底上げをしないといけない。WEリーグに行きたいね、と思ってもらえるようなリーグにしていかないと。例えば私たちがFCバルセロナというチームにあこがれるように、海外の選手が浦和に行きたいと思ってもらえるようになったら世界にWEリーグが広がりますよね。そうなりたいです。

——地域密着性の高い浦和というチームだからこそできることがありますよね。

そう思います。浦和だからこそやらなきゃいけないとも思っているので、選手もしっかりいろんなことを考えながらアクションを起こしていきたいです。

——最後に、エネルギーの源であるファン・サポーターの方へメッセージをお願いします。

まず、感謝を伝えたいです!コロナ禍でもスタジアムに駆けつけてくれて、たくさんの応援をしてくださってありがとうございます。昨年の11月に埼玉スタジアムで開催したマイナビ戦には、4,500人のお客さんが来てくれました。あの試合は雰囲気が本当にすごく良くてテンションが上がりました。前期は思うような結果が出ませんでしたが、一つずつ勝利を掴むことを大事にして、一つ一つのプレーに気持ちを込めて全力で戦うので、一緒に戦いましょう!

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

高橋はな(たかはし はな)

2000年2月19日生まれ、埼玉県出身

DF、背番号7

戸塚FCガールズ戸木南ボンバーズFC(FCアビリスタ) → 浦和レッズレディースジュニアユース → 浦和レッズレディースユース → 三菱重工浦和レッズレディース

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