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インタビュー
2021.11.18
【WE INTERVIEW #32】~瀬野有希選手(ちふれASエルフェン埼玉)~


得意のキック力を活かしたセンターバックに

中学生まで140㎝台の身長だったという瀬野有希。高校生になり一気に20㎝伸びたことでイメージするプレーにようやく近づいた。コツコツと磨き続けたキック力は、ちふれASエルフェン埼玉の最終ラインからのロングフィードで攻撃を形作る。中盤からのコンバートとなったが、挑戦あるのみ。まだまだ先の目標に据えていたWEリーグの舞台で彼女は今、その夢を現実のものとしている。

——最初にサッカーを始めた頃から中盤だったのでしょうか?

そうですね。6個上の兄がいるチームで始めて、だいたいが中盤か前めのポジションでした。日常にサッカーがあることが当たり前だったので、他のスポーツもやらずに気が付いたらサッカー一本でここまで来ました(笑)

——ここが武器だ!というものを掴んだ時期は?

高校生になって10㎝、翌年も10㎝とどんどん伸びて162㎝までになった時期です。ずっと蹴り続けていたボールが飛ぶようになって、自分の中でキックに自信を持てるようになりました。競り合いや球際でのプレーが強くなったのもその時期です。

——元なでしこジャパンキャプテンの宮間あやさんを憧れの選手に挙げていた理由は、キックのところからですか?

宮間さんはゲームをコントロールする力もすごいと思いますが、一番惹かれたのはキックの精度でした。こんな正確に蹴れるんだ、と驚いたのを覚えています。

——球種や蹴り方が多様ですよね。

そうなんです!そこへのこだわりがすごい。私も宮間さんのように蹴り分けられるようにしたくて、蹴り方を意識して変えてみたりしていました(笑)。当時は中盤でプレーしていたのですが、そのおかげでサイドチェンジが結構できるようになりました。左サイドから右サイドの大外まで蹴れるようになった時は、自分の武器が一つできたと思いました。

——WEリーグでプレーするチャンスを掴んだときの感情は?

プロでできるんだ!と率直に嬉しかったです。プレーしたい気持ちは当然ありましたが、WEリーグの開幕が決まった時はオファーをもらっていませんでした。所属していたスフィーダ世田谷FCで結果を残して、WEリーグのチームからオファーしてもらえるようにがんばろうと決意した後、最後の最後でチャンスをもらいました。

——実際にWEリーグの選手として開幕を迎え、そのピッチに立っています。

結果を残さなければいけないので、今までとは違う責任感があります。今まで手を抜いていた訳ではないですが、サポーターやファンの人たちのためにも戦う気持ちが大きくなりました。

——瀬野選手と言えば中盤のポジションのイメージがありました。

そうですよね。でも今と同じ最終ラインでのプレーは大学生の時に経験していました。と言っても、ゴールキーパー以外ほとんどやったと思いますけど(笑)

——ちふれでの最初の登録はミッドフィルダーでしたよね?

はい。最初は中盤で出たいと思っていました。でも監督にセンターバックもやってほしいと言われたので、そこを任せてもらえるなら頑張ります!と取り組んでいます。中盤でプレーしている時だと1対1でチャレンジして最悪抜かれても後ろに味方がいる安心感がありましたが、最終ラインだと絶対に抜かれちゃいけない。そのプレッシャーが・・・(苦笑)

——戦いは折り返しに近づいてきましたが、WEリーグでの試合のテンポには慣れてきましたか?

相手のプレーを予測して潰しに行くことが何となくできるようになってきたと感じています。1対1でスペースを与えてしまった時の対応はそんなに得意ではないので、その前にぶつかりに行ってボールを奪うことを意識しています。

——今のポジションの方が瀬野選手のキック力が活きる気もします。

そうなんです(笑)。中盤だと相手のプレッシャーが強くてパスを出せるところが限られてしまいますが、一つ下がったことで全体が見えてパスコースが増えます。基本的にフリーの状態でボールを持てるので、グラウンダーのパスも出せるしロングフィードもできる。私のキックという武器を活かせるポジションだと思います。

——とはいえ、ゴールを狙いたくなる時もあるのでは?

時々狙いたくなります(笑)。試合でたまにポジションを一個上げてもらうことがあるので、その時がチャンスですね。私が上がり過ぎるとダメですが行けそうな瞬間もあるので、すごく前のめりになります。そんな時に決まって岸選手から「バランス!」って声がかかります(笑)

——みなさんにお伺いしているのですが、こんなWEリーグにしていきたいというものはありますか?

大学生の時にDPR KOREAと現地で国際親善試合をしたことがあるのですが、スタジアムに3万人ものお客さんが入っていました。シュート一本に対して会場が沸く光景にすごく興奮して、こういうところでプレーしたいと思ったことを今でも覚えています。スタジアムを満員にする理想は今のままでは高いと思いますが、応援されるチームになるためにプレーはもちろん、地域やファン・サポーターに何を届けられるか選手一人一人が考えていきたいと思っています。今はDAZNでも試合を見ることができますが、ぜひスタジアムに足を運んで応援してください!よろしくお願いします。

(インタビュー・構成=早草紀子)



【プロフィール】

瀬野有希 (せの ゆうき)

1996年12月30日生まれ、埼玉出身

MF、背番号6

林サッカークラブラガッツアFC → 修徳高校 → 日本体育大学 → 日体大FIELDS横浜 → スフィーダ世田谷FC → ちふれASエルフェン埼玉

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