2024年11月17日、ノジマステラ神奈川相模原が相模原ギオンスタジアムで、ALL WE ACTION DAY「WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動(子ども虐待防止を訴える運動)~」を実施しました。
2024-25 SOMPO WEリーグ 第9節vsちふれASエルフェン埼玉で行われた「WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動(子ども虐待防止を訴える運動)~」は、ALL WE ACTION DAYの一環として行われたもの。昨シーズンに続き、児童養護施設の子どもたちや職員をリーグ戦に招くとともに児童虐待問題への関心を高めるため、スタジアムでオレンジリボンの啓発活動を実施しました。
今回、試合に招いたのは相模原市にある「相模原南児童ホーム」、「中心子どもの家」の子どもたちと職員約70名です。「イベントなどで顔を合わせることもあったノジマステラさんとは、2〜3年前ぐらいから選手たちが施設に来て、子どもたちの部屋で遊んだりするような本格的な交流をしてきました」と2014年の開設当初から交流を続けている相模原南児童ホームの職員は教えてくれました。
また、中心子どもの家も同様に「普段は、チームの練習を見学させていただいたり、昨年も試合に招いていただいたりと交流をしてきました。子どもたちも選手と触れ合って、顔と名前を覚えていますし、選手たちも子どもたちのことを覚えてくれています。交流の中では一緒にサッカーをやるだけではなく、室内でトランプやオセロなどをしたこともありました。選手たちはトップアスリートですが、みんなと同じように遊んでくれます。子どもたちもうれしかったようで、『オセロに勝ったんだよ、強かった』とニコニコしながら教えてくれるんです。選手を身近に感じていると思います」(中心子どもの家職員)と話します。
地域とのつながりを大切に、子どもたちとの絆を大事に育んできたN相模原。今回のWE ACTION DAYを実施するにあたり、10月下旬から選手たちはグループに分かれて、各施設を訪問。サッカーなどでさらなる交流を深めていました。子どもたちとの交流は、施設に訪れるほか、練習見学や地域のゴミ拾い活動、子どもたちへのグラウンド開放、11月4日に収穫祭をした「さがみはらさつまいも共創プロジェクト」など、多岐にわたります。
その中には児童養護施設についての勉強会もあり「選手を対象に研修をさせていただき、施設が行っている虐待に対する取り組みなども伝えています。施設見学も行う中で、選手たちはいつも真剣で、どのように子どもたちと関わったら良いか。どういう状況なのかを質問してくれる。しっかりと理解をして交流を続けてくれていると実感しています」と相模原南児童ホームの職員。
施設訪問を振り返って、伊東珠梨選手は「今は2つの施設に行かせてもらっています。その中で勉強会にも参加しました。子どもたちはいろいろな理由で施設にいます。様々な環境下で私たちが経験してきたこととは違うことを味わっている場合もあるのですが、その子にしかないものもあるし、自分にしかないものもある。だからこそ、もっと深い関係性をノジマステラと子どもたちで作っていけたらいいなと強く思っています」と話します。
「選手とは遊ぶよりも、いろいろなお話をずっとしています」と、はにかんで話してくれたのは施設で暮らす女の子です。施設で暮らす子どもたちは年代も様々。選手たちは一人ひとりと向き合いながら、一緒に遊ぶこともあれば、話をする時間を大切に交流することもあるそう。
そうして関係を築いている時間に込めた思いは「施設の子たちに何かひとつでもいい印象を持ってもらえたらいいなと。寄ってきてくれる子。恥ずかしがってしまう子。様々な子どもたちがいる中で(恥ずかしがってしまう)子たちにも、自分たちから話しかけにいくことも心がけています。私たちとの触れ合いも含めて、日常が楽しいと思ってもらえたら良いなと思うので、楽しく続けていきたい交流です」と伊東選手。
子どもたちからも「珠梨ちゃんと話すのも楽しい。今日の試合でもがんばってほしい選手のひとりです」と名前が上がった伊東選手。実は、「裁縫も好きなので、昨シーズンに続いてミシンがけをさせていただきました」と「WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動~」開催に伴い、両チーム、審判員が腕に巻く“オレンジの腕章”制作を担当していました。試合ではゲームキャプテンを務め、右腕にオレンジリボンの腕章。左腕にキャプテンマークを巻いた姿でピッチに立つ姿が印象に残ります。
「今日の試合では、(バス入り時に)待っていてくれて、ハイタッチで出迎えてもらったんです。(施設の)子どもたちはなかなか来られない場所でもあると思うので、気合いも入りましたし、感謝の気持ちも持って挑みました」と伊東選手。「がんばって」という子どもたちの激励に、試合に臨む鋭い眼差しが一転、優しい笑顔が浮かんでいました。
選手たちが戦うピッチの外では、相模原市子ども家庭課、相模女子大学高等部、学校法人和泉短期大学と連携し「オレンジリボン運動(子ども虐待防止を訴える運動)」への普及啓発活動も実施。オレンジリボン啓発グッズとなった「ももちゃん LEDアクリルバッジ (オレンジリボンver)」を限定販売し、売上を全額「オレンジリボン」へ寄付したほか、オレンジリボン運動啓発グッズ・リーフレットの配布、缶バッチ制作なども行われました。
また、選手たちを後押ししようと「ハリセン(オレンジリボン運動ver)」も配布。選手入場時に掲げられる仕様になっており、ファン・サポーターも「オレンジリボンのハリセンがほしい」と手に取りながらスタンドに入っていきます。試合前には、大型ビジョンにて「オレンジリボンキャンペーン(児童虐待防止)」の啓発映像も放映するなど、N相模原を中心に地域一帯となって行われた「WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動~」。
スタンドがオレンジ色に染まる中、ピッチでは、伊東選手が作ったオレンジの腕章が選手たちの腕に巻かれていきます。そして、N相模原だけではなく、クラブの垣根を超えてEL埼玉の選手の腕にも巻かれ、審判団も着用しました。この日、相模原ギオンスタジアムに集うすべての人々が、児童虐待防止への思いを込めた一戦。両者、譲らず2-2の引き分けに終わります。
子どもたちの声援も含めた後押しの中で、「イメージ通りで驚いた」という自身にとってWEリーグ初得点となる先制点を決め、会場を大きく盛り上げた平田ひかり選手は「応援の声はすごく力になります。今日は『WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動~』だったので、サッカーを通じて、こうした活動を広げていきたいという思いもありました。連勝をかけたゲームでもあったからこそ(引き分けは)悔しい」と振り返ります。
「ノジマステラに復帰してから相模原ギオンスタジアムでの初得点となった」2点目を決めたのは、南野亜里沙選手。子どもたちが見守る席の目の前で、白熱のゴールシーンが生まれていました。
試合後、小笠原唯志監督は「今日はオレンジリボン運動の日。たくさんのファン・サポーターと子どもたちが来てくれました。温かい応援をいただく中で、子どもたちにエネルギーを与えるような前半になったと思います。だからこそ、何としても勝利を届けたかった」と悔しさをにじませます。
様々な環境下にある子どもたちと触れ合い、学び、理解しながら自分たちにできることに全力となったN相模原の「WE ACTION MATCH~オレンジリボン運動(子ども虐待防止を訴える運動)~」。うれしい初得点や復帰ゴール。選手たちの気持ちのこもったプレーに込められた想いは、しっかりと子どもたちにも届いていきます。
「テレビで見るのとは違って、生の空気感。応援の迫力。旗を振る音などを感じられました。今まで他のスポーツにも招待をいただいたことがありましたが、中でもノジマステラさんはいつも近くで声を掛けてくださり、ハイタッチなど触れ合う機会も作ってくれる。それは他ではなかなかないことです。だからこそ、子どもたちも応援に行きたいと話しますし、チームのことを心から応援しています」と中心子どもの家の職員。
相模原南児童ホームの職員も「夢を持つことが難しい子どもも多い中で、夢を持ってサッカー選手になった素晴らしい選手たちと出会い、交流することで『頑張ろう』と思えるようです。ノジマステラの皆さんが本当に身近な存在でいてくれていることは、子どもたちに良い影響がありますし、普段は友だちのように接してくれるフレンドリーな選手たちが、今日はいつもとは違う雰囲気でかっこいいアスリートの姿でした。子どもたちも興奮気味で、試合に来ることができて良かったなと思います」と言います。
「サッカーを見に行くときは、触れ合った選手を『応援しよう!』と盛り上がりますし、すごくうれしい気持ちでスタジアムに来ています。みんなも本当に楽しそうなんです。選手同士が協力してゴールや勝利を目指すところがとても好き。これからも勝ち続けてほしいですし、がんばってください」と女の子も熱いエールを贈ってくれました。
勝利の喜びを届けるためにも「ベースは個。個の部分を見直して、できなかったことを反省しながら自分を育てていく。個を上げていけば良いサッカーができるので、活躍できる選手を育成していきたい」と小笠原監督は言います。
強い思いを抱いて臨んだ“オレンジ色の一戦”を経て、決意を新たにリーグ戦に挑んでいくN相模原。ピッチ内外で選手たちが輝くことが、多くの人々に希望と笑顔を与えていくことにつながっていきます。