2024年11月2日、セレッソ大阪ヤンマーレディースがヨドコウ桜スタジアムで、「誰もがサッカーを見て関われる環境への第一歩」を実施しました。
「誰もがサッカーを見て関われる環境への第一歩」は、C大阪のホームタウンである東住吉区の児童発達支援サービスを利用している児童や学生、スタッフなど103名を2024-25 SOMPO WEリーグ 第7節vsジェフ千葉レディースに招待。試合前のスタジアムツアーや選手バスのお出迎え、ベンチ外の選手たちと一緒に試合観戦を行い、女子サッカーに触れてもらう機会となりました。
あいにくのお天気でパラパラと小雨が降る中、ピッチ見学からスタートしました。
やや緊張の面持ちだった参加者も、試合直前のピッチを見ると「すごい」「客席が近い」と感嘆の声が上がります。歴史あるヨドコウ桜スタジアム(長居球技場)の説明も熱心な様子で聞き入っていました。
次に、両チームが使用するベンチに向かいます。ピッチとスタンドまでは5.8メートルという距離感に驚きながらも、うれしそうな表情。メインスタンドを見上げたり、ピッチを眺めたりする姿がありました。試合で使用するベンチでは「サッカー選手のように撮影しよう」と記念撮影。参加者の顔もどんどん明るくなっていきました。
「今日は雨が降っているのですが、悪天候などでもファン・サポーターや観客の皆さんが安心安全にサッカーを見られるように守っている場所です」と運営本部なども案内され、試合開催日のスタジアム各所を見学。そして、準備が着々と進められているロッカールームも訪問します。
きれいに並べられたユニフォームやピッチコンディションなどが書いてあるホワイトボードなどに思わず「うわぁ、すごい」「本当にかっこいい」と参加者たち。実際の選手たちと同じような円陣を組み、「いくぞ!」と掛け声をかけるシーンも再現するなど、臨場感あふれるロッカールーム見学を楽しみます。
ヨドコウ桜スタジアムのロッカールームは、照明の色をピンクや虹色などに変えられる仕様。見学の途中に照明カラーを変えてみると「すごくかっこいい、気持ちが上がる」と感嘆の声が飛び交っていました。
続いて、この日は特別に事務所にも立ち寄ります。歴代の選手たちのサインが入ったガラス戸などに見入りながらも「見学をさせていただきありがとうございました」と、準備に勤しむスタッフに挨拶をして、いよいよ選手のお出迎えに向かいます。
選手バスの到着を2列になって待つ参加者たち。ソワソワと緊張の様子も見られましたが、鳥居塚伸人監督を先頭に選手が登場すると「がんばってください!」と元気に声をかけていました。
「ありがとう!がんばります」とハイタッチをしながら応える選手たち。参加者の顔にはより層の笑顔が浮かび、スタジアムツアーが終了。キックオフを待つばかりとなりました。
雨脚の強くなったキックオフ前、参加者のもとを訪れたのは森中陽菜選手、藤原のどか選手たち7名です。選手の登場に、参加者のテンションが一気に上っていきます。選手たちの自己紹介のあとにさっそく質問タイムが設けられました。
「サッカーでボールを取られないようにするにはどうしたらいいですか?」という質問には、選手たちから「いい質問!」と声が上がります。回答者に指名された森中選手は「ボールを足から離さないようにすること。力加減も大事です。足もとにしっかりとボールを置いてみるといいよ」と回答すると、参加者から「さすが!」と納得の声が次々に聞かれました。
いよいよ、参加者と選手たちとの試合観戦が始まります。参加者の間に入るように選手が座ると、まずは大雨の中、エスコートキッズを務める仲間に大きな声援を送ることからスタートしました。
キックオフのあとは、さっそく質問タイムに。選手たちとコミュニケーションを取る様子があちこちで見られます。
「GKは前まで行って、得点を決めていいの?とか、アディショナルタイムについてなど、いろいろなことを聞いてくれました。『サッカーを見られて良かった』と言ってくれたり、『サッカーが好きになった』、『休み時間にボールを蹴りたい』という声も聞こえてきたり。とてもうれしかったですし、自分とは違う発想を持って試合を見ている姿もあって、個人的にもすごく良い時間になりました」と森中選手は試合中の様子を教えてくれました。
参加者に溶け込むように手拍子の仕方を教えたり、話しかけたりする選手たち。ピンチの場面では「がんばれ、守って」と祈るような声援を送り、チャンスには「いけ!」と大きな後押しの声を届ける参加者を見守りながらも、一緒に応援をした90分となりました。
森中選手は「実際に行うまでは、(コミュニケーションの取り方は)難しいものかなと感じていましたが、全くそんなことはありませんでした。みんな、とても可愛かったですし、純粋にサッカーを楽しんでいてくれたと思います。老若男女、障がいの有無なども関係なく、みんなが女子サッカーを楽しめるようにしていくには、まず誰かと誰かを比べないこと。分けないこと。みんな同じ一人の人として接すること。それがとても大事だということを、今回のWE ACTION DAYを通じて改めて感じましたし、個人的にも考える部分がありました。それから、スポーツを見て感じてもらえること。『楽しい、また来たい』と思ってもらえることもわかったので、本当にいい機会だったと思います」と振り返ります。
C大阪は、「誰もがサッカーを見て関われる環境への第一歩」を実施する前に、選手たちは児童発達支援サービスを利用する子どもたちとの関わり方について学びを深める講義を受けていました。
どのように声をかけると良いのか。振る舞い方や話しかけ方なども学んでいたそうですが、実際には、参加者も選手たちもとても自然体。みんなで楽しく試合を見ていた姿が印象に残ります。
「最初は、どのように話しかけたら良いのかなと思っていたところもありましたが、話しかけたり、コミュニケーションを取ったりすると反応がしっかりと返ってきましたし、話すことがすごく面白かった。みんなとの触れ合いが本当に楽しかったです。今回のように客席で試合を一緒に見る機会は初めてだったのですがワンプレー、ワンプレーにすごい歓声を上げてくれましたし、サッカーを見て『うまい!早い!』など、いろいろなことを感じてくれていました。そのすべてを声に出して応援してくれる。それも実感しましたし、うれしかったことです」と森中選手。
年齢や性別、障がいの有無などに関係なく、安心安全で誰もが楽しめる女子サッカーを目指し、今後も発達障がい支援などの取り組みにも力を入れていくC大阪。多様性を学び、感じ、理解を深めた今回のWE ACTION DAYは、その大きな一歩になっていました。
「技術や戦術でサッカーを組み立てていくところが女子サッカーの魅力。それからファン・サポーターの皆さんとの距離感が近いのも特徴です。今日もそうですが、こうした交流も皆さんに楽しんでもらえたらいいなと思います」と、言葉を続ける森中選手。
この日のように様々な人の笑顔があふれるスタジアムへ。女子サッカーの魅力も伝えながらC大阪はシーズンを戦っていきます。